「世界のオーバーツーリズムの街比較」(Economist誌) から考える今後の対策!
(今だからこそできるインバウンド観光対策facebook 平岡さん投稿 2024年8月4日)
https://www.economist.com/finance-and-economics/2024/08/01/which-cities-have-the-worst-overtourism-problem

【ホッシーのつぶやき】「オーバーツーリズム」の指標として、「住民1人当たりの観光客数」と「住民1人当たり観光客の消費額」が提示されたことは大きい。平岡さんのコメントにある『これからインバウンド観光客を誘致しようとしている所は、「人口の3〜4倍」の観光客が来ることを想定(覚悟)して、受け入れ準備を進め、それを超えてきた時、速やかにサーキットブレーカーを発動するまで計画に織り込んでおくべき』は示唆に富んだ提言である。

【 内 容 】
The Economist誌(2024年8月1日号)に「世界のオーバーツーリズムの街比較」という記事が掲載されていましたので、その内容をご紹介します。(有料記事ですけど)
https://www.economist.com/finance-and-economics/2024/08/01/which-cities-have-the-worst-overtourism-problem

この記事では、「オーバーツーリズム」を評価する指標として「住民1人当たり何人の観光客が訪れているか」と「住民1人当たり観光客がいくら消費しているか」が使われています。

ちなみに、東京はそれぞれ「1.5人」と「1,300ドル」で、リストの中では軽度のオーバーツーリズムの街とされていました。つまり、まだ余裕があるということでしょうか。

ランキングのトップはアムステルダムで、「10.1人」と「11,200ドル」。これは、住民の10倍の観光客が押し寄せ、1人当たり約160万円を消費するという状況です。経済的には大きな収入源となるでしょうが、住民にとっては大変な負担です。

もし東京にアムステルダム並みの観光客が押し寄せると、1億人を超える観光客が訪れることになり、街の機能が麻痺してしまうでしょう。

アムステルダム市はこの問題に対処するために「クルーズ船の寄港制限(宿泊費や食費が街に落ちないため)」や「ホテル税の増税」といった対策を講じています。

オーバーツーリズムでよく話題になるバルセロナは「5.9人」と「5,100ドル」で、アムステルダムの半分程度ですが、それでも住民の反対運動が起きるほどです。どうやらこの程度の数字が限界と考えられるようです。

記事中では、オーバーツーリズムのバランスをうまく取っている街として「大阪」が挙げられていました。「3.6人」と「4,900ドル」という数字は、東京を大きく超えているものの、バルセロナほどではなく、良好な例とされています。

上位都市

中堅都市

下位(まだ伸びしろのある街)

Economist誌の記事中では、実例を挙げてアムステルダムレベル(人口の10倍)は論外としても、バルセロナレベル「人口の5.9倍」は様々な問題が顕在化するレベルだが、大阪レベル「人口の3.6倍」はちょうど良いレベルと評価している。(それにしても、アムステルダムってそんなに面白い街だったっけ)
すなわち、今人気が出始めている地方観光地や、これからインバウンド観光客を誘致しようと計画しているところは、「人口の3〜4倍」の観光客が来ることを想定(覚悟)して、様々な受け入れ準備を進め、それを超える数が押し寄せるような状況になったら速やかに何らかのサーキットブレーカー(規制モデル)を発動する、そこまで計画に織り込んでおくべきでしょう。