『日本アートマネジメント学会関西部会』 例会・オンライン講演会 
「文化で地域をデザインする」
(日本アートマネジメント学会 2020年6月28日)
https://www.facebook.com/events/2777416985814733/?active_tab=discussion

「文化」「アート」といっても幅広い。古典芸能から現代芸能、巨匠が描くアートから、市民や障害者が描く芸術。どう見てもひとくくりにできない。それも「保存」から「活用」まで視点も広がりすぎる中で、何故「アートを活かすのか」「何のためにアートを活用するのか」を考える機会になった。
2018年「文化財保護法の改正」で「活用」が重視されることになった。当時は、インバウンドに日本の文化を体験してもらうという趣旨であった。
コロナ渦で「観光」が打撃を受けるなか、「地域の活性化」のために「文化」「アート」を活かすという視点は大切だ。

【「アート」と「観光」に関するキーワード】
・2016年に「明日の日本を支える観光ビジョン」に、「文化財」を「保護優先」から、観光客目線での「理解促進」そして「活用」へと書かれた。
・2018年に「文化財保護法の改正」があり、活用重視になった。
(反対・賛成の意見)
・活用優先で保存がおろそかになるのではないか?
・文化財保護は本質価値を伝えることが大事で、観光は目的ではない。
・これまで保存を重視し過ぎて、価値が伝わっていない。
・今後に継承するには収益を上げることも重要。観光やまちづくりに活かすべき。
・専門家にしか分からない解説を、もっと分かりやすくするべき。

・(小浜市の事例)「保存優勢の考え方では、いつまでたっても地域住民が誇りや親しみを持つことはできないのではないか?」との、文化財担当職員の危機感があった。
・「活用」することで住民の関心を高め、「保存」への意識を醸成するべき。
・「歴史文化基本構想」の策定を機に、住民がもともと取り組んでいた活動と、文化財をつなげる活動がつながった。
・「鯖街道」を起点に発酵の文化に触れる。芸妓さんとお座敷遊び。「ローカルラーニングツアー」

・物事の背景にある意味や価値を伝えることが大切。
・これまで繰り広げられた人間の活動が「文化」であり、解説活動も「文化」である。

・2017年6月成立の「文化芸術基本法」に、観光、まちづくり、国際交流との連携が謳われているが、日本に住む外国人は念頭に置かれていない。
・日本人と、日本に住む外国人が連携して行う文化芸術活動が、多文化共生の推進に大切。

・(長崎県平戸市の事例)「百菓之図」(約200年前に、平戸藩主松浦公が町民の為に作ったお菓子図鑑)をもとに、平戸の人とオランダ人をつないだ現代版「百菓之図」を作り、茶会を開催した。
伝統文化と国際交流、平戸はかつて海外との交流拠点(出島)

・青森県八戸市の産業遺産と地域住民をつないで、産業遺産ツーリズムや、工場見学ツアー、夜景イベントを行った。
・工場側は、工場の存在意義を地域住民に理解されにくい面もあったが、イベントを開催することにより、理解が進んだ(喜んでもらえた)という結果になった。
・集客や経済効果が第1義ではなく、地域の誇りを形成することにある。
・アートイベントの成功事例は、プロデューサに委託することが多いが、自治体自ら企画運営することは大切。

下記のFacebookページに発表された先生方のグラフィックレコード(グラレコ)がまとめられています。(グラコレの”まとめ方”が素晴らしい…)
https://www.facebook.com/events/2777416985814733/?active_tab=discussion