米「TikTok難民」 中国の別SNSに乗り換え
(日本経済新聞 2025年1月16日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB158460V10C25A1000000/
【ホッシーのつぶやき】
中国発の動画アプリ「TikTok」の米国ユーザーが中国のSNS「小紅書(RED)」に流入している。米国でTikTokを利用規制する新法が近く発効すると言われており、2日間で70万人以上がユーザー登録したようです。
今後、「小紅書」が英語圏向けとしても有効な発信ツールになるのかは疑問ですが、トランプ発の情報規制も大きなパラダイムシフトを起こしそうです。
【 内 容 】

中国版インスタグラム「小紅書」に米国のTikTokユーザーが流れ込んでいる=AP
中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国ユーザーが相次いで中国のSNS「小紅書(RED)」に流入している。米国で近くTikTokの利用を規制する新法が発効する可能性が高まっているためだ。写真や動画を通じて規制に反発する声や、小紅書など競合アプリへの「くら替え」の表明が目立つ。
【関連記事】トランプ氏、TikTok規制の執行一時停止を検討 米報道
16日午後時点でアップル米国版アプリストアの無料ダウンロードランキングで「中国版インスタグラム」と呼ばれる小紅書が首位につけた。小紅書には写真・動画の投稿やライブ配信などの機能がある。3億人のアクティブユーザーを抱え、中国で最大のSNSの一つだ。騰訊控股(テンセント)やアリババ集団などの大手企業から出資も受ける。
ロイター通信は小紅書に近い人物の話として、2日間で70万人以上のユーザーが同サービスに新たに登録したと報じた。TikTokの代替アプリとして話題を呼んだとみられ、米国での流行を受けて他の国でもアプリのダウンロード数が増えている。
小紅書はアプリを海外版と国内版で分けておらず、世界中のユーザーが同じプラットフォーム上に集まる。投稿を自動翻訳する機能はなく、中国語ができないユーザーにとっては使いやすいとは言えない。
それでも小紅書にユーザーが流れる背景として、中国政府関係者は「TikTokと小紅書の間でフォロワーを移せるように提携している」と語った。日本経済新聞の問い合わせに対し、16日午後までに両社から回答はなかった。
米政府や連邦議会は中国側に米国人のデータが奪われる懸念があるとして、TikTokの規制を求めている。これを受けて米国ユーザーが別の中国系SNSに流入する事態となっている。

小紅書では「#tiktokrefugee(TikTok難民)」のタグがついた投稿が増えており、タグがついた投稿の総閲覧数は8億回を超えた。「TikTokが禁止されるから小紅書を始めた」と話す動画投稿も目立ち、TikTok規制をめぐる米国政府の動きに疑問をもつユーザー同士の交流の場となっている。
TikTokから移行したユーザーが翻訳ツールを使って中国語で発信する投稿の反応が良く、すぐに多くのコメントがついている。
既存の配信者が新規加入者に向けた動画の投稿も続く。フォロワー数170万人を持つ女性インフルエンサーは「小紅書にようこそ。中国人はフレンドリーだから怖がらないで。みんなと交流したい」と発信した。普段は中国語を使っているが、わざわざ英語で話し、2万件を超える「いいね」を集めた。
TikTokを規制する米国の新法は、親会社の中国・字節跳動(バイトダンス)が米国事業を売却して中国資本から切り離さない場合、TikTokのサービス提供を19日に禁止する。複数の米メディアが、規制が発効した場合、TikTokは米国の利用者向けサービスを即日停止する計画だと報じた。
アプリの既存利用者を含め、月間1億7000万人に上る米国の利用者全体に直ちに影響が及ぶことになる。TikTokは新法の差し止めを求める訴訟の中で、1カ月間のサービス停止で、米国の1日あたり利用者の3分の1を失うとの試算を示した。
利用制限が解除されたとしても、大半の動画投稿者や視聴者は競合サービスに移り、TikTokに戻らないとも指摘した。サービス停止による損害は「回復不可能だ」と主張した。
TikTokの米国でのサービス停止が現実味を帯びるなか、TikTokから流出するユーザーやクリエーターを取り込む動きが活発になっている。米メタの画像共有アプリ「インスタグラム」や米グーグルの動画投稿サービス「ユーチューブ」など大手も含め、代替利用が増えている。
(芦川美奈、シリコンバレー=山田遼太郎)