奈良県観光戦略本部 〜今後のインバウンド戦略について〜(講演概要②)
奈良県観光局 局長 竹田博康さん
(観光のひろば 2024年11月22日)
【ホッシーのつぶやき】
新しい観光戦略も見事です。観光消費額は2019年度の1,807億円を2030年度4,200億円と倍増していますが、内容を見ると無理はありません。宿泊単価を2割増にするのと、延宿泊者数を倍増の500万人にすることが課題ですが、これまでに高付加価値ホテルを誘致し、着々と開業時期を迎えいるので無理はなさそうです。そして宿泊する理由を増やすため、博物館などナイトミュージアムも考えておられます。
これら戦略も、地域の課題をよく聞き、『観光地域カルテ』を作り、『処方箋』を作ると言います。また関係機関との連携強化のため連携協定を締結しておられます。
竹田さんの活躍を応援したいと思います。
【 内 容 】
このようなことから、今年5月に奈良県観光戦略本部を立ち上げ、2030年度の観光消費額を4,200億円(1,807億円)に、一人当たりの観光消費額を増やすとして、宿泊31,000円(24,807円)、日帰り6,000円(4,569円)、延宿泊者数500万人(273万人)(カッコ内は2019年度の数字)を目標として進めています。
「本部会議」の下部に「部会」を設置し、部会は地域を磨き上げるという観点から“奈良駅周辺エリア”、“平城宮跡エリア”、“斑鳩・飛鳥・山辺の道エリア”、“吉野・天川、金剛・葛城、十津川村・宇陀エリア”を重点エリアと設定して検討を開始しています。部会では、地域の観光に関する現状・課題について、押し付けるのではなく、よく聞き『観光地域カルテ』をつくり、見える化し、「地域への観光誘客と課題解決」に結びつけるための方策を『処方箋』として示していきます。
具体的には、観光誘客や観光消費額を拡大のため、販路確保としてOTA活用、夜間の消費拡大につながるナイトミュージアムの造成、観光プロガイドの活用など、アイデアを抽出してまいります。推進体制としては、行政、DMO・観光協会が担うべき役割などを整理してまいります。
また、「奈良の観光の玄関口を見据えた中南和地域への送客強化」を大きなテーマとし、鉄道はJR東海経由の京都駅、JR西日本経由の大阪駅、空路は関西国際空港、成田国際空港からJR経由で来られるので、JR西日本、近鉄とは昨年までに連携協定を締結しているが、さらにこの取り組みを強化するものとして、大阪観光局やJR東海とも今年度連携協定を結びました。さらに、データ分析や送客強化のためNTT西日本、ソフトバンクと、インバウンド誘客強化のため海外OTA最大手のエクスペディアとも連携協定を締結するなど積極的に観光政策を進めています。
観光における交通手段の改善手段として、現在、大阪観光局と連携し、「大阪の近代観光資源」と「奈良の歴史・文化・自然の観光資源」をセットにした「デジタル周遊パス」(webでパスを購入、施設窓口でQRコードを提示して入場)を導入したいと考えています。北部地域の移動は近鉄、中南和地域の移動はレンタカーを想定します。決済はシームレスな環境になるようキャッシュレスで支払えるようにしたいと思っています。奈良県と大阪観光局が一体となったプロモーションによる認知度向上、パスは事前決済なので「せっかく近くまで来たから入ろう」という誘因が働きやすくし、拝観者・来場者の増加につなげようと考えています。