奈良県観光戦略本部 〜今後のインバウンド戦略について〜(講演概要③)
奈良県観光局 局長 竹田博康さん
(観光のひろば 2024年11月22日)
【ホッシーのつぶやき】
奈良の観光戦略は、2011年、奈良公園観光のワンストップ窓口“奈良公園室”を作った時から始まっています。そして13年経ち、成果が出る仕掛けができました。戦略はPDCAで取り組めとよく言われますが、竹田さんはDCAPだ。行政はプランばかり作りたがるが、トライアンドエラーで取り組むことこそ重要と話されました。
既存のルールを見直すことは簡単ではありません。
竹田さんは覚悟を持って取り組んでおられると強く感じました。
【 内 容 】
これまでの奈良公園での取り組みとしては、特区制度を活用し、奈良公園観光地域活性化特区(H25年指定)により、官民一体となった取り組みを推進し、奈良公園の眺望・景観の保全や奈良のシカの保護、賑わいづくり、宿泊施設の誘致に取り組んできました。
高付加価値の宿泊施設誘致では、知事公舎付近にマリオットの最上級ホテルを誘致(R5年オープン)、浮御堂に隣接した地域に「ふふ奈良(R2年オープン)」、少年刑務所を星野リゾートの上級宿泊施設(R7年度オープン予定)など、多彩なホテルの建設が次々に進んでいます。
魅力創出の取り組みでは、近鉄奈良駅前の行基広場の屋根整備(H25)、若草山山麓の石段を低くする魅力の向上(H26)、猿沢池周辺にウッドデッキを整備した賑わい創出(H28)、県庁から大仏殿間の歩道整備(H28)、奈良公園バスターミナル整備(H31)などがあります。
その他の魅力向上策としては、猿沢池などの水を綺麗にする改善事業、奈良のシカの「鹿苑」からの糞尿改善などにトライアンドエラーで取り組んできました。
よくPDCAで取り組めと言われますが、私はDCAP、つまりプランばかりつくっていないで、トライアンドエラーで取り組むことが重要との考え方を表現したものです。
奈良公園では「なら燈花会」「若草山焼き」「なら瑠璃絵」などの行事が開催されています。今後ともお客さんが来られ宿泊につながるイベントは継続するべきだが、宿泊につながらないものはやめたり改善したりして取り組むことが大事であると考え実践してきました。
奈良は1300年前にシルクロードから色々な文化が入ってきて、天平文化を生んだ土地です。これに倣って、これからも国内外から多様な人や文化を受け入れ、チャレンジできる場所にする取り組みにしたいと思っています。「自然・歴史・文化資源の“ちから”」「地域が持っている多様な価値の“ちから”」「地域の人の奈良を愛する“ちから”」を活かしていこうと思いますと講演を締め括られました。
【意見交換】
・これまで奈良の観光が発展して来なかったのは、イベントとプロモーションをやっていれば良いという素地が強かった。もっと地域に入って、地域の課題を聞いて、課題を磨きあげないといけない。
・観光とは光を観ることと書く。地域の人が光を観ない限り、観光客の方々には光を観ることができない。
・地域が望んでいないことをやっても「いらんお節介」です。地域の実情を聞いて、地域の人が望むものを考えていかないといけない。