先日、じゃらんリサーチセンターの観光振興セミナーで『インバウンド市場獲得PRに対する海外検索動向データの活用』をお聞きしたのでご紹介する。

世界経済フォーラム2013の観光資源調査で、日本の総合成績は世界で10位、アジアでは1位だった。しかし、2012年の世界各国・地域への外国人訪問者数では33位、アジアのなかでも8位である。
この数字はよく目にする。外国人訪問者数が1位フランス8301万人、2位アメリカ6696万人、3位中国5773万人と比較するのではなく、マレーシア2503万人、香港2377万人、タイ2235万人、マカオ1358万人、韓国1114万人、シンガポール1039万人と比較して、日本の836万人は少なすぎるとの認識が必要だということだ。

セミナーでは、海外渡航者の日本比率から見たポジショニングが必要と話された。
ランチェスター理論の一つの「グーブマンの目標値」を紹介され、市場的存在シェア6.8%(ようやく存在が許される水準)、市場的認知シェア10.9%(ようやく存在が確認される)、並列的上位シェア19.3%(上位のブランドが拮抗している)、市場影響シェア26.1%、相対的安定シェア41.7%、独占的市場シェア73.3%と話され、アジア諸国の訪日比率で見ると、韓国で16.1%(出国1269万人のうち訪日204万人)、台湾15.3%、香港6.8%、タイ4.7%となっている説明があった。この数字が、旅行先の認知度に直接つながるとは思えないが、認知度に合わせたPRは必要だ。

ASEAN3ヶ国(タイ・マレーシア・シンガポール)の観光渡航先ニーズ調査を見ると、日本は「魅力的なコンテンツがある」60.2%で1位になっているが、Googleの旅行関連検索の08年と12年の比較を見ると、シンガポール159%、オーストラリア144%、日本116%と、日本の伸び率は決して高くない。

世界経済フォーラム2013の観光資源調査で、日本はアジアで1位であるのに来訪者が少ないのは、観光の構造として、外国人の受け入れを良しとしない風潮があるからだ。
日本のホスピタリティ「おもてなし」が評価されているのに、宿泊施設や観光を取り巻く環境の評価が低いのは残念なことである。

http://jrc.jalan.net/flie/researches/researches040.pdf