『カジノ』という言葉を聞くだけでアレルギーをおこす方もおられるが、統合型リゾートを理解してもらうためには、『カジノ』についても理解してもらわなければならない。

カジノの歴史は350年以上になるという。1638年頃に世界最古とされるカジノがイタリアに現れ、1771年にドイツのウィスバーデン、1856年にモナコに最初のカジノ施設が誕生している。20世紀には合法化の動きが出てくる。1907年にフランスで合法化され、1931年に米ネバダ州で合法化している。
カジノを付帯した統合型リゾートは新しい形態だが、今、アジアでも統合型リゾートの開設ラッシュが続いている。

韓国は、2012年カジノ開設投資を促進するため、外国資本への規制緩和を検討している。
フィリピンは、国家プロジェクトとしてマニラ湾の埋立地に世界最大級の統合型リゾートを建設中で、2013年に開業予定である。
ベトナムは、2013年に統合型リゾート「MGMグランド・ホー・チャーム」が開業予定という。
台湾は、2009年に離島限定でカジノを合法化している。開設については住民投票による可決が必要だが、馬祖島で2012年に住民投票が行われて可決している。
その他、ロシアのウラジオストックでも建設されるようだ。
また、カジノを併設したクルーズ船も運行されており、日本から出向したクルーズ船も、領海を出た時点でカジノを解禁している。

このように現在、120カ国以上でカジノは合法的に運用されており、国際観光のスタンダードになりつつある。一方、日本は、現行法上カジノは違法(刑法第185条・第186条に「賭博に関する罪」)であるため、カジノを開設するには、宝くじや競馬と同様に「特別法」の制定が必要になる。

我が国においては、2004年に自民党の「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」が「ゲーミング(カジノ)法・基本構想(案)」を公表し、2010年には「(社)日本経済団体連合会」が「カジノを含めたIRの展望が地域振興の観点から有効であることは明らかである」と提言、「国土交通省成長戦略会議」が「MICE誘致促進の観点からカジノを含めた総合リゾート開発の我が国におけるポテンシャルについて検討する」と提言、超党派の国会議員による国際観光産業議員連盟(IR議連)が「国際競争力のある滞在型観光と地域経済の振興を実現するための特定複合観光施設区域整備法(案)会長私案」を公表。2011年、IR議連が「特定複合観光施設区域の整備推進に関する法律案(未定稿)」を公表している。

神奈川県、和歌山県、沖縄県、大阪府などの地方自治体や関西経済同友会でもカジノ導入にかかる調査研究が行われている。