来たれ、ラグビーインバウンド50万人 W杯まで1カ月
(日経新聞 2019年8月20日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48736750Z10C19A8EA1000/?ct=t(201808_20180821_COPY_01)&utm_campaign=dee77fc75b-201808_COPY_01&utm_medium=email&utm_source=Irodori+Mail+Magazine&utm_term=0_7434297140-dee77fc75b-143160005

ラグビーワールドカップが9月20日から開催される。
日本人のラグビーファンは多くはないが、観客の3割は欧米豪を中心とした訪日ファンで、50万人が見込まれるという。
ラグビーファンは大量のビールを飲み、札幌市のパブでは普段の週末の6~8倍を用意するという。
2015年イングランド大会、海外の観客の平均滞在日数は14日間、1人あたりの平均消費額は2400ポンド(約31万円)といい、経済効果が高いようだ。
経済効果だけに注目するのではなく、地域の魅力を伝える好機として欲しい。

【ポイント】
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が9月20日、日本対ロシア戦で幕を開ける。11月2日の決勝戦まで全国12都市で48試合が行われ、ファンが多い欧米豪を中心に海外から50万人以上の観客が訪れると見込まれる。

■ビール6倍準備
「既にオーストラリアのアマチュアクラブチーム40人を含め、複数の団体予約が入っている」。札幌市でパブ「ブライアンブルー」2店舗は、ビールは普段の週末の6~8倍を用意して備える。
札幌ドームでは9月21、22日に強豪オーストラリア、イングランドの試合が続き、ラグビー目当てのインバウンド(訪日外国人)は約2万人に上ると想定される。
街中や会場周辺では、ボランティアが外国人向けに飲食店マップを配り、観光情報を提供する。
「ラグビーファンは大量のビールを飲む」と聞き、卸業者は夜間も店に配送することを検討している。
W杯の観客の3割は欧米豪を中心とした訪日ファンとみられ、「欧州の強豪国などのファンは熱烈。朝から最寄りのパブに行き、試合後にもまた集まってビール片手にずっとラグビー談議に花を咲かせている」という。

■会場分散、長期で「転戦」
ラグビーW杯の会場は全国12カ所に散らばっている。体をぶつけ合う激しいスポーツだけに試合間隔は1週間程度空けてある。
試合とともにファン同士の交流も楽しみ、レンタカーや鉄道を使って観光しながら次の試合会場へ向かうという。
2015年イングランド大会、海外から訪れた観客の平均滞在日数は14日間、1人あたりの平均消費額は2400ポンド(約31万円)だった。日本とは物価が異なるので単純な比較は難しいが、現在のインバウンドの平均支出の約2倍に相当する額だ。
「欧米には幅広い人にお土産を買って帰る文化はないが、飲食や工芸品の購入などの消費につなげたい」

■地域の魅力発信
会場となる自治体は、滞在中の消費だけでなく、普段と異なる層のインバウンドに地域の魅力を伝える好機としてもとらえている。
大分市では準々決勝など5試合が予定されており、大分県は大会向けに英語のサイトを立ち上げて県内の温泉など観光情報をアピールしてきた。「大分市だけでなく隣の別府市の宿も埋まってきた。6月時点で予約の4割近くは外国人だった」。湯布院などにも予約が入りつつあるという。

大会組織委員会は7~8月、W杯で会場となる岩手県釜石市、大阪府東大阪市での日本代表戦を運営のテストの機会と位置づけ、ボランティアによる観客誘導などを試行した。
大きなトラブルはなかったが、会場内の売店やトイレが混雑し、ネット上で「列がどこにつながっているのか分からない」といった書き込みもあった。
「本番では多くの外国人も訪れる。自治体とも連携してさらに準備を進め、案内役の人員を増やすなどしてしっかり対応したい」と話している。