デジタルノマドを日本に 柴田啓氏(ベンチャーリパブリックCEO)
(日本経済新聞 2022年10月5日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB224XU0S2A820C2000000/?unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
ベンチャーリパブリックCEOの柴田啓氏は、以前から、世界的にデジタルノマドが増えており(2021年時点で3500万人以上)、デジタルノマドは長期滞在するので、日本も誘致に力を入れるべきだと言われている。
国という概念は無くならないだろうが、デジタルノマド(人)は、働く場所、生活を楽しむ場所を求めて世界を移動する時代に入っているようだ。

【 内 容 】

旅をしながら遠隔で仕事をする「デジタルノマド」が世界中で急増している=ロイター

新型コロナウイルスの感染拡大を機にリモートワークが世界中で普及し、旅をしながら遠隔で仕事をする「デジタルノマド」が急増している。2021年時点の世界のデジタルノマド人口は3500万人以上とされ、今後3~4年で倍増するとの予測もある。

デジタルノマドの多くは高収入の知識労働者で、旅行先では長期滞在するため、人気観光地に限らず地方での滞在が増え、地元の消費増加につながる可能性がある。民泊仲介大手の米エアビーアンドビーは昨年、全予約の2割が28泊以上の予約だったと発表して世界を驚かせた。弊社が運営する旅行情報サイト「Trip101」でも直近の1予約あたりの予約単価はコロナ禍前と比べて5割超上昇している。

観光立国を掲げる日本にとって世界のデジタルノマドを引き寄せることは、今後の訪日観光市場を復活させる一つのカギになると考えられる。さらにこうした旅行者が長期滞在の結果、その土地を気に入れば、継続的に訪問したり、拠点を構えたりする可能性も出てくる。人口減に悩む地域にとって交流・関係人口の増加は経済活性化につながる。

世界ではすでにこうしたデジタルノマドの受け入れ拡大に向けた競争が始まっている。ポルトガルやオーストラリア、ドイツ、タイなどは相次いでデジタルノマド向けの特別ビザの発給を始めた。日本では短期滞在ビザの取得で滞在できるが、滞在期間は最大90日と制約がある。

米ハーバード・ビジネス・スクールのチョードリー准教授は「デジタルノマドの取り込みは移民に関する課題解決の一助になったり、新たな知識が共有されたり、イノベーションや新規事業創出の芽が生まれるなど多くのメリットをもたらす」と述べている。

デジタルノマドの受け入れは、移民受け入れに対して慎重論が多い日本社会にとっては「お試し移民」制度のような位置付けで有益な役割を果たせるかもしれない。観光という枠組みを超え、多様な課題に対する解決策の一端を担う可能性を秘めている。日本もデジタルノマド向けビザの導入や民泊普及のさらなる促進などに官民を挙げて取り組むべきだろう。