世界15カ国で「観光に対する意識調査」を実施、「地域への恩恵を望む」が65% 、 国連世界観光機関
(トラベルボイス 2019年4月2日)
https://www.travelvoice.jp/20190402-127261

国連世界観光機関も、オーバーツーリズム問題を把握する動きを加速させている。
「観光客が多い街に住んでいる」47%。「観光がもたらす恩恵」50%以上とポジティブな回答があり、一方で「観光客が過剰な混雑」46%の回答もある。国によりばらつきがあり、日本はわずか24%だったという。
「観光客数を制限する」への賛同者は12%にとどまっているようだ。
大問題に発展する前に、旅行者と居住者のどちらにも恩恵があるようマネジメントすることが求められる。

【ポイント】
国連世界観光機関(UNWTO)は、都市部の住民の観光に対する意識調査の結果をまとめた。
日本を含む世界15カ国の1万2000人を対象としたもの。都市で暮らす市民の視点から見たツーリズム像やその影響を把握し、マネジメント戦略に役立てることが狙い。
全体の47%が「自分は観光客が多い街に住んでいる」と回答。ただしオーストラリアの回答者では68%、フランスでは33%となるなど、国による違いも見られた。

観光が都市にもたらす恩恵については、全体の50%以上が「ポジティブなインパクトがある」と回答。
具体的には、収入の増加や異文化交流、新しいレジャーアクティビティの登場などが挙がった。
中でもアルゼンチン、オーストラリア、韓国、スペイン、スウェーデンでは観光のポジティブな効果に対する認識が高かった。

しかし一方で、回答者の46%はツーリズムが「過剰な混雑の原因になっている」、49%は「観光マネジメント手法の改善が必要だ」と考えていることも明らかに。
国によって回答にはばらつきがあり、アルゼンチンでは75%、日本はわずか24%だった。

観光マネジメント対策については、「インフラや施設の整備」(回答者の72%)、「観光客と居住者の両方が楽しめる体験やアトラクション」(同71%)、「地元コミュニティに観光の恩恵が及ぶようにする」(65%)への支持が大きかった。

「観光客数を制限する」への賛同は12%。「観光プロモーションを中止するべき」は9%にとどまる。

UNWTO事務局長は、これからのツーリズムの在り方について、「旅行者と居住者のどちらにも恩恵があるよう適切にマネジメントすること、地元コミュニティの声に耳を傾けることが重要」とコメント。現代の都市が抱える諸問題解決にもつながるようなアーバン・ツーリズム計画が必要だとの考えを示した。

調査時期は2018年12月から2019年1月。
調査対象国はアルゼンチン、スペイン、韓国、ポーランド、イタリア、ハンガリー、オーストラリア、スウェーデン、ベルギー、カナダ、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本の15か国。