京都の定点観測
(株)ケイズドア・観光交流アドバイザー 釼菱英明

京都市の主要ホテルの2023年11月の稼働率は85. 5%となり、コロナ禍前とほぼ同水準となりました。日本人の延べ宿泊数は前月から14.7%増えたものの2019年の水準には届かず、外国人比率は51.5%となり、11月として最も高い水準となりました。国・地域別では、2か月連続でアメリカが19.1%と最も多く、次いで中国が15.1%、台湾が11.5%の順となりました。旅館の客室稼働率は77.9%でした。
そして、市内4百貨店の免税売上額は約34.3億円となり、百貨店は過去最高額となったようです。

次に、12月にNHKの「関西熱視線」で放映された「オーバーツーリズムー若い世代が京都を離れていく」を紹介されました。これは京都市中京区、東山区、南区などの簡易宿所の調査で、2011年度328棟だったものが、2016年度1493棟、2018年度2990棟に増加したものになります。

そして地価が上がって、地域によっては10倍くらいになっている。147万人だった京都市の人口が144万人に減ってきており、特に25歳から35歳と5歳以下の若者や子育て世代の首都圏や近隣都市への流出が目立つとの紹介がありました。

京都市も危機感を抱いており、昨年12月に「人口戦略アクション2023」を発表して、建物の高さ規制の緩和や、市営住宅を子育て世代向けにリノベーションするなど取り組んでいこうとしています。

固定資産税が増加し、宿泊税も増加するなど市税収入に良い面もあるのですが、龍谷大学の阿部教授から、バルセロナでは宿泊施設が急増したので中心市街地へのホテル新設を禁止していると事例を紹介され、キャパシティの議論や宿泊施設の規制と誘導、独自の観光増税などの提言がありました。

「海の京都」関連では、ふるさと納税で「海の京都コイン」を導入しており、2023年は2200万円となり、ふるさと納税していただいたら宿泊やレストランで使えるとの紹介や、「丹後天酒祭り」の話題も提供されました。