生活の利便性と景観を守る運動の葛藤は多いようだ。景観規制が厳しすぎて生活を便利にできなくなるのも困りものだが、風致地区における景観は、未来の子供たちのためにも守りたいものだ。 (読売新聞 9月9日)http://www.yomiuri.co.jp/local/kyoto/news/20140908-OYTNT50247.html?from=oytop_ymag  

京都市は、建物の内側から窓ガラスなどに広告を掲示する「特定屋内広告物」の調査結果をまとめた。市が定めた表示面積の基準を超える広告を設置している建物は、JR京都駅や四条大宮などでは2~3割に上った。屋外では認められない大きさや華美な広告が街から見えるように取りつけられることで、景観への影響も懸念されている。

特定屋内広告物は建物の窓や扉など開口部に内側から屋外に表示するよう設置されたもので、条例で表示面積や設置する高さなどを厳しく規制している屋外広告物の基準は適用されない。

市は、屋内広告物の表示面積を1階は開口部の50%以内、2階以上は30%以内と定めている。色も一定の目安を設けているが、屋外広告物とは異なり、市内全域で同じ基準となっているため、繁華街を中心に長大で夜間照明による派手な広告もみられる。屋内広告物を前提に壁面を二重構造にし、外側をガラス張りにした施設もあるという。

詳しい実態を把握しようと、市は昨年9月から今年3月に初めて特定屋内広告物の調査を実施。四条通沿道や京都駅、阪急・大宮駅など市中心部の計63か所3041棟を対象に調査員が目視で行った結果、全体の約4割に上る1256棟で確認された。2階以上で表示面積の基準を超えた建物は四条大宮で約3割、京都駅周辺と河原町通で、それぞれ約2割存在した。

屋外広告物が設置できる場所より高い位置に屋内広告物を掲げている建物は二条城、東西本願寺周辺ではほとんど見られなかったが、京都駅では約2割、御池通など中京区周辺でも約1割あった。

市は、▽階をまたぐ縦長の広告▽夜間照明で建物全面が広告のように見える▽簡易な広告を無秩序に貼り出している――などのケースも検討が必要と判断。今後、外部有識者の意見も聞き、規制のあり方を探る。

市屋外広告物適正化推進室は「京都らしい景観を維持するため、どこまでの規制が必要なのかを考えていきたい」としている。