京都市観光振興審議会(橋爪紳也・大阪府立大観光産業戦略研究所長)は9日、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、外国人宿泊客数を、昨年の3倍近い年間300万人とする目標を掲げた新しい観光振興計画案をまとめた。観光客が市に落とすお金の目標額を初めて設定し、年1兆円とした。

京都市を訪れる観光客は08年に5000万人を突破し、昨年は過去最高の5162万人に。外国人宿泊客も過去最高の113万人を記録するなど、円安効果もあって増加傾向にある。

審議会は、大学教授のほか、北京五輪銅メダリストの朝原宣治さんら計30人が委員を務めた。東京五輪開催の決定を受け、来年3月としていた計画案の取りまとめ時期を、半年前倒しした。

計画案では、国内客よりも長期滞在し、消費意欲が高い傾向のある外国人の誘客に力点を置いた。具体的には、イスラム圏の旅行者を取り込むため、豚肉やアルコールの飲食を禁じるイスラム教の戒律「ハラール」への対応や、礼拝所の設置促進を盛り込んだ。

この他、▽外国人への対応を相談できるコールセンターの設置▽無線LANの環境整備▽商店街での免税店増設▽伝統産業品の制作体験ができる店舗の情報発信――などを掲げた。

さらに、宿泊や飲食、土産物購入などによる観光客の支出について、「他分野への経済波及効果が大きい」として、20年までの目標総額を昨年(7002億円)の4割増の1兆円に設定。学校教育や市民講座などで京都の歴史や文化に触れる機会を増やすなど、観光客へのおもてなしについて、市民の関心を高めてもらう施策の充実にも触れた。

新計画は市議会に報告後、今月中旬に正式決定する。

読売新聞 10月10日
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