9月14日、午後2時―。
ニッポンの宇宙への夢を乗せた新型ロケットが、鹿児島の青空に打ち上げられた。
世界初となる“人工知能”を搭載した国産ロケット「イプシロン」(24.4m、91t、3段式ロケット)だ。
9/29の朝日放送の『夢の扉+』ではプロジェクトマネージャー森田泰弘の人間性を中心に、イプシロンの打ち上げにまつわる話や、鹿児島・内之浦の旅館の三姉妹とのエピソードが展開された。
9/29のNHKの『サイエンスZERO』では、科学的な解説があった。
8/26のNHK『クローズアップ現代』では、イプシロン開発の背景が解説されていた。
 
イプシロンは、組み立て時から打ち上げまで、ロケット自ら点検作業を行うセルフチェック機能を備えており、点検作業を劇的に減らし、打ち上げコストの半減を実現しているという。
しかし、期待を込めた8月27日の打ち上げは寸前で中止になった。
これはイプシロンに搭載しているコンピュータOBCと、管制センターのコンピュータLCSとの間に0.07秒の差が生じたため、正常なデータが送信されず、コンピュータ自らが停止命令を出して停止したというのだ。人間が停止命令を下したのではなく、コンピュータ自らが停止させたというところが凄い。
 
イプシロンの不具合は改善されて、9月14日に打ち上げが成功した。
1段目ロケットは大気圏を離れるまで飛び、2段目ロケットは地上800kmの宇宙の渚まで、そして、3段目ロケットで人工衛星を周回軌道に乗せるという。
人工衛星を目標軌道に乗せるのも、コンピュータで自動演算してガスを噴出させ軌道修正するという。この軌道修正も無事に終えて、「完璧だった」と森田さんは語った。
 
これまでロケット開発は国の発注に頼ってきたため高コスト体質だった。
ヨーロッパでは7ヶ国が出資し、13年かけて『ベガ』という小型ロケットを開発している。打上げ価格は40億円。イプシロンの打上げ価格は38億円。ベガを下回った。さらに改良して30億円を目指すという。
打上げ価格を大幅に引き下げたのは、『ローズ』というコンピュータシステムだった。点検作業を大幅に減らし、打ち上げスタッフも従来の100人から10人に減らしている。
一方、気象衛星など小型人工衛星の需要が増大しているという。経済規模は、これまでの2倍の320億円になるそうだ。
 
3年前の国際学会で発表した時、「できっこない。止めておけ」と冷ややかな反応だったという。それだけ困難だったのだ。
 
素晴らしい… イプシロン打ち上げ成功の時の感動が蘇ってくる。
このような技術開発の現場の話を聞くと「2番ではダメ」なのだ。先頭を走るため、新技術の開発が不可欠なのだ。
さらに挑戦は続くが、『はやぶさ』の感動を『イプシロン』が続けてくれることを願いたい。
 
『夢の扉+』
http://www.tbs.co.jp/yumetobi-plus/backnumber/20130929.html
『サイエンスZERO』
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp439.html
『クローズアップ現代』
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3390.html#marugotocheck