この本は、『今すぐ世界と競争できる見本市会場を建設すべし』が趣旨だ。

それも東京ドームと同規模の1万3千㎡は必要だという。この規模がないと世界中から企業やバイヤーを集められないと切迫感を込めて書いておられる。

国際見本市の経済効果について述べる。

2006年に開催された『国際宝飾店』という国際見本市における消費金額合計は、200.1億円(推定)という。

内訳は、出展社が35.5億円(出展料・輸送・制作物・アルバイト29.8億円、宿泊費1.8億円、交通費4.5億円、飲食費2.4億円) 来場者が14.8億円(宿泊費3.7億円、交通費7.5億円、飲食費3.6億円) 仕入額が150億円という。

国際見本市は、海外からの出展社、来場者も多いので、経済効果も大きいということだ。

見本市会場の施設は質素で良いという。

日本の見本市会場は豪華すぎる。世界の国際会議場は巨大な倉庫のようだという。いかに建設コストを下げて、商談が行うことができる国際会議場を建設するかが、国の経済発展までも左右するという。

『来場者の水増しをしてはいけない』という。

著者は、1998年の出展社向け説明会で『来場者の水増しをしない』宣言をしたという。

当時は、来場者の水増しが当たり前の時代ではあったが、水増しすることで、主催者が見本市の開催意義を安易に考えるようになるという。また、著者の企業の社員も、危機感が醸成されないため安易な運営を考えるようになるともいう。

来場者の数え方を明確にしている。来場者が提出した名刺を1名と数え、何回来場しようが1名としかカウントしないという。出入り口でカウントする手法は、出入り口を通過するたびにカウントするため、来場者数は大幅に増加する。

世界の国際会議を見てきた著者だから述べることができる意見だ。見本市会場は質素でよいのは当然と思うが、『来場者の水増しをしてはいけない』は、真剣に国際見本市に取り組む著者ならではだと思う。それにしても国際見本市の経済効果は半端ではない。真剣に考えてなければならないと思う。