ナリタ・ハネダを経由しない訪日客が急増する?
〜地方空港は「地方創生」の切り札になれるか〜
(日経ビジネスオンライン 11月28日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141125/274239/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt

日本は地方空港を作りすぎたといわれてきた。
確かに多すぎるのだろうが、地方空港が訪日外国人観光客の窓口になる可能性も秘めている。

【ポイント】
・外国人の入国の9割以上を空路に依存する日本にとって、旅行需要が集中する都市の交通機関や宿泊施設の供給能力は大きな課題。
・2012年の羽田空港の発着は39万回、成田国際空港は21万回。発着枠を拡大し、2015年には合わせて74.7万回を確保する予定だが、2022年にも超過する恐れがある。
・日本国内に80を超える空港がある。2013年に国際線の運航実績があった空港は51。うち上位7つの空港で市場の96%となる。

・「地方空港IN・OUT」のツアーの数を急増させた茨城空港。
 茨城空港の2010年度の旅客数は20万3070人(国内線9万6098人、国際線10万6972人)で赤字だったが、2012年度には40万8139人になり、航空系事業収支こそ2800万円の赤字だが、非航空系事業は1億7300万円の黒字で、国管理の27空港のうち18の黒字空港の一つとなった。
・現在、国内線ではスカイマークが札幌、神戸、福岡、那覇、米子便を就航。国際線では春秋航空が上海便を週8便運航している。
 今年4~8月の旅客数はすでに23万5793人に上り、国内線、国際線とも過去最高の伸びを見せている。
・茨城空港は1時間以内にアクセスできるエリア人口が340万人に上る。
・茨城空港は空港使用料が520円と安く、空港-東京駅は500円のワンコインバス(所要時間約100分)が利用できる。
・上海便の利用率は高く、座席数180席の約9割が埋まるという。利用者は外国人55%、日本人45%。外国人の多くはFIT客で、リピーターも多い。

・昨年度、関西・茨城IN・OUTのツアーは「皆無」だったが、今年度は4~9月の上半期で32件と、爆発的に増えている。
 理由は、今年3月、春秋航空が関西国際空港へ1日1便の定期便を就航させたことにある。
・地方空港IN・OUTというツアーの実現は、片翼だけで飛ぶことができないので、就航できるだけの条件が必要がある。
・現在の訪日ツアーはゴールデンルートが主流だが、今後、ディープに茨城や北関東を旅するツアーが生まれる可能性は十分にある。

・信州まつもと空港は2010年5月、日本航空(JAL)が経営再建のため撤退し、6月に札幌、福岡便はFDAに引き継がれた。
 地元の利用促進の協力もあり、2013年度の利用率は札幌、福岡便とも74%を超えた。
・FDAは2008年設立の新興の航空会社。現在、名古屋小牧、富士山静岡、福岡、信州まつもと空港を拠点にリージョナルジェット機を運航している。
 地方都市間をリージョナルジェット機で結ぶ新たなビジネスモデルだった。
 現在、FDAが結ぶ12の地方都市の間では新たな地域連携、観光誘発の取り組みも始まっている。

・広島空港の2013年の国際線旅客数は、31万1970人(国内第8位)。うち約7割がアウトバウンドです。
 2013年に広島県を訪れた外国人観光客は84万3000人。うちアジアからの客は29.6%、欧州25.1%、アメリカ21.6%、太平洋10.1%で、欧米からの客が56.8%を占める。しかし広島空港の国際線定期便は韓国、中国、台湾で、欧米の客が広島空港を利用することはほとんどない。
・観光産業の発展を図るには、インバウンドとアウトバウンド双方の市場を活性化する「ツーウェイツーリズム」の確立が必要。
・瀬戸内の魅力では最近、尾道と今治を結ぶしまなみ海道の、サイクリングロードとしての魅力が海外で認知され始めている。
 広島県・愛媛県は、両県の島しょ部・臨海部で様々なイベントを開催する「瀬戸内しまのわ2014」で連携。
・今年10月、瀬戸内しまなみ海道振興協議会は台湾サイクリスト協会との間で姉妹自転車道協定を結んだ。
 台湾には世界10大サイクリングコースの一つ「日月潭サイクリングコース」があり、姉妹提携することで「瀬戸内しまなみ海道」を、日本を代表するサイクリストの聖地として世界に発信する狙いがある。
・今年12月から来年にかけて、広島-バンコク間の双方向直行チャーター(タイ、日本双方で販売)の運航にこぎ着けた。