増える日中直行便 「地方」のきれいな空気、豊かな自然が中国人に「ウケる」!
(Jcastニュース 2019年7月4日)
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/07/04361454.html?p=all

中国と日本との航空直行便が、2019年2月から3月にかけて50路線近くが就航するなど増加している。
それも日本の地方都市と中国の地方都市とを結ぶ路線が増えている。
中国の「地方都市」と言っても、人口が多く、工業化により大気汚染や水質悪化に悩まされている。
中国の都市に住んでいる人たちが農村部に出向くことを「肺を洗う」といい、海外で汚れていない空気に触れることを「肺を取り換える」と言う。
このような需要があることも認識しなければならない。

【ポイント】
中国と日本との航空直行便での新規就航や増便が、今年(2019年)になって相次いでいる。
特に目立つのは、日本の地方空港への中国からの乗り入れだ。
中国航空各社の直行便は、2019年2月から3月にかけて50路線近く就航している。昨年11月から12月にかけて増加したのは5路線でしたから、10倍近い増加ぶり。
発着地は、日本側では大阪、名古屋、札幌が目立ち、地方都市と中国の地方都市とを結ぶ路線が増えた。たとえば名古屋とウルムチ、北九州と大連、福岡と青島、静岡と西安や長沙といった具合だ。

日本の首都圏空港では中国の航空会社に発着制限があったり、中国でも北京、上海の発着枠が日本の航空会社に回らなかったりしている。こうした要因も相まって「首都圏以外の都市」や「日本の地方」と「中国の地方」とを結ぶ細かなネットワークが次々にでき上がっている。

国際線と国内線を合わせた旅客数世界第7位の中国東方航空(上海)は、関西国際空港と山西省太原との直行便を就航させた。太原は北京から南西に約500キロメートル。このような地方都市にまで直行便が飛ぶようになっている。
上海と岩手・花巻空港とを週2回運航する直行便も開設した。パウダースノーで知られる安比高原でのスキーを楽しみたい中国人を呼び込もうと、岩手県を中心に東方航空側に働きかけてきた結果だ。

中国の「地方都市」と言っても、人口も多く、工業化によりPM2.5など大気汚染や水質悪化に悩まされている地域も少なくない。石炭の産地として有名な山西省の太原もその一つ。
こうした都市に住んでいる人たちが、「肺を洗う」旅行として休日に郊外の農村部へ出向き、さらに、海外で汚れていない空気に触れることを「肺を取り換える」と言い、日本の地方への旅行も拡大している。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(2017年)は、中国人リピーターには「地方を訪れる割合がほかの国や地域からの旅行客より増える」「旅行支出は最大」。10回以上旅行者の支出は、中国(30.2万円)、香港(19.8万円)、台湾(14.6万円)、韓国(8.4万円)という順だ。

東京に来ても「空気がキレイ」という感想を持つ観光客もいる。ましてや日本の地方には、豊かな自然環境、穏やかな風景、温泉などの天然資源がある。また中国人は異口同音に「中国と比べると、日本の農村部は、民家の様子や道路まできれいに整っていることに驚く」と語る。
日本側は「中国人客が何を求めて日本の地方に来るのか」に、もっと意識を向ける時が訪れている。