大阪観光局:赤字2700万円、局長が自費で補填
(毎日新聞 10月22日)

大阪観光局が今年4月に開催した国際音楽イベントが約9400万円の赤字を出し、うち2700万円を実行委員長の加納国雄局長(69)が自費で補填していることが分かった。イベントの計画や収益予想などは外部業者任せで、チケット収入が見通しの2割強に低迷したという。チェック機能や責任のあり方に疑問の声が上がりそうだ。

 大阪観光局によると、赤字になったのは4月下旬に大阪市中央区の大阪城西の丸庭園などであった「大阪国際音楽フェスティバル2014&インターナショナルジャズデイ2014」。

 ハービー・ハンコックさんら有名ミュージシャンが出演するユネスコ(国連教育科学文化機関)など主催の国際ジャズ祭や、一青窈さんや韓国人アーティストが出演するライブなどが計画されていた。観光局を事務局とする音楽フェス実行委が、共催者や主催者として切り盛りした。

 しかし、韓国の客船「セウォル号」沈没事故の影響でライブが中止になったうえ、ユネスコの意向で限られた方法でしかチケット販売ができなかったこともあり、約1億4700万円を見込んでいたチケット収入が約3300万円と低迷した。

 大阪観光局は松井一郎知事、橋下徹大阪市長、関西経済3団体のトップが合意して昨年4月、設立された。府・市は年間計5億円を拠出している。大阪観光コンベンション協会が大阪の観光振興を担ってきたが、「発信力強化」を目的に組織体制を刷新した。局長には、米国系銀行員などを経て香港政府観光局日本・韓国地区局長を務めていた加納氏が起用された。

 赤字の補填は加納局長が自費で支払うほか、観光局の事務局機能を担う同協会が実行委へ貸し付けるなどして埋める。税金からの補填はないという。【松井聡、寺岡俊】

 ◇「税金は使えぬ」

 加納局長は「大規模なイベントを開催した経験がなかった。イベント計画や収益予想などは民間の企画会社にお願いした。自分の監督責任であり、しっかり管理できなかった。税金で補填しないために自分で負担した。大阪の知名度を上げる効果はあったが、今後はリスキーなイベントはやらない」と話した。