【データ】新型コロナウイルスによる日本の消費者行動変容と企業に求められる対策
(観光経済新聞 2020年10月31日)
https://www.kankokeizai.com/【データ】新型コロナウイルスによる日本の消費/

【ポイント】
新型コロナによる消費者の行動の変化を業界別に報告されている点が興味深い。
大きなポイントは「感染リスクを避けたい」となり、オンライン購買が伸び、若年層は「置き配」を希望し、高齢者層はオンライン配達にもウイルス感染対策を希望している。
そのためには送料や所要時間がかかってもよいと考えている。
消費スタイルは、高齢者や主婦層など「節約・自粛派」と、「これまでの消費を維持する派」に二分されている。

【 概 要 】
EY Japanは、新型コロナウイルスによる日本の消費者行動変容と企業に求められる対策を発表した。

<調査要点>
消費者が購買を控える理由は「感染リスクを避けたい」が最も強く、サービス業であるほど強い傾向にある。オンライン上での購買行動は幅広く普及し、特に20~30代女性の間で動画などのオンラインコンテンツの利用率が増加し、高齢者層はオンライン配達にもウイルス感染対策を希望している。

消費者行動の変化とその要因
緊急事態宣言の解除後、小売業では回復傾向が見られた一方で、旅行、レジャー、飲食店などのサービス業の利用には依然として消極的になっており、今後もその傾向は続くと考えられる。

オンライン購買行動の変化
新型コロナウイルス感染症の流行は消費者のオンライン購買行動を活発化させ、購入に重要視する購買心理をも変化させました。また「配送における感染対策が万全であること」を重要と感じる回答は、60代以上の人々に多く見られました。20~30代の若年層を中心に、「置き配」サービスが利用できることを重視する人が増えていることも注目されます。

オンライン購入についても、消費者が重視するポイントは変化しつつある。
「配送料はいくらまでなら許容できるか」に対し、最も多いのは「0円」であるものの、25%の人々が400円以上でも注文すると回答した。また新型コロナウイルス感染症流行後は、許容し得る配送リードタイムも延びており、「配送に4日以上かかっても良い」が47%になった。

パンデミックの状況下、店頭での直接購買だけでなく、オンライン購買でもウイルス対策を重要視しています。また需要増や販売者の負担増を理解し、送料や所要時間がかかっても感染対策を徹底してほしいと考えています。

余暇時間のデジタルシフト
外出自粛により自宅で余暇時間を過ごすことが増えた。新型コロナウイルス感染症流行後は、YouTubeなどの動画コンテンツ、Amazonなどが提供する映画やドラマのストリーミング配信が高まりました。中でも20~30代の女性の利用率の伸びが目立ちます。

オンラインでのスポーツ観戦や音楽ライブの視聴など、デジタルコンテンツも多角化しつつある。外出自粛をきっかけとして、デジタルコンテンツに手を延ばした人が増えたと考えられる。
新型コロナウイルス感染症流行により、リモートアクティビティは若年層を中心に高まりを見せており、未知の体験に期待しています。

消費者のモビリティにおける変化
新型コロナウイルス感染症流行後、通勤通学といった日常的な移動でやや電車の利用者が減少しているものの、流行前後で大きな変動はありません。しかし休日に娯楽施設へ出掛けたり旅行の移動において、電車利用は大きく減少し、自家用車にシフトする傾向が見られます。

コロナ禍は、在宅勤務やサテライトオフィス、ワーケーションといった新しい働き方の認知度を高めた。「新型コロナウイルス感染症流行を受けて、転居をする意向があるか」については、東京都に住む20代のリモートワーカーの半数近くが、「転居を検討している」と答えている。

消費者が企業に期待するアクション
「企業が注力するものとして好感が持てるのはどのような行動・特徴か」を消費者に尋ねた結果、「ウイルス感染の発生を防ぐための対策を講じている」企業に好感を頂く回答が最も多く、高品質・低価格といった、それまで重視されてきた付加価値を上回りました。

サービスそのものについての価値観をも変化させつつある。
8割を超える消費者が、感染対策を強化するため、サービスの品質や利便性の低下、提供スピードの遅延が発生するのもやむを得ないと回答している。
年代や性別によって、許容できる内容やその度合いに差異が見られるので、消費者の求めるスタイルを見極める必要がある。

クラスター分析で見る消費スタイルの変化
今回の調査データを基に、クラスター分析手法を用いて消費者を類型化したところ、流行前においては4つのクラスター、流行後は6つのクラスターが形成され、従前は、消費意欲の大小が消費者分類に直結していたが、コロナ禍以降の大局的な消費スタイルは、高齢者や主婦層などの節約・自粛を励行する人々と、それまでの消費行動を維持している人々に二分されています。

20歳~75歳 関東首都圏、近畿、中京エリアの計7,000名(エリア・性別・年代をもとにした人口構成比割付)に対して、2020年8月21日から8月31日に行ったオンラインサーベイ。