2020年の人口移動報告が発表。人の動きは停滞するも東京圏への人口流入は止まらず
(MATCHA週間インバウンドニュースマガジン 2021年2月1日)
住民基本台帳人口移動報告 2020年結果 結果の概要  (総務省) 2021年1月)
https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/pdf/gaiyou.pdf?utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=2021年2月1週号&utm_medium=email
東京都の転入超過幅が減少
(JIJI.COM 2021年2月1日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012900872&g=pol&utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=2021年2月1週号&utm_medium=email

【ポイント】
日本国内における市区町村間移動者数は、2020年525万人となり前年比2.7%減少。約50年にわたり減少を続けているという。
東京都への転入超過幅が2019年が82,982人から、2020年は31,125人と、51,857人減少しています。
コロナで人口密集している都市部を嫌がる傾向と、テレワークの推進で、都心でなくとも業務ができることが理由と考えられるが、東京都から転出した人は、神奈川県や埼玉県、千葉県などの周辺部に移動しているのかもしれないと分析されている。

【 内 容 】
1月29日、総務省統計局から2020年の人口移動報告が発表されました。
ポイントをいくつかピックアップいたします。
参考ニュース:住民基本台帳人口移動報告 2020年結果 結果の概要 (総務省)
https://www.stat.go.jp/data/idou/2020np/jissu/pdf/gaiyou.pdf?utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=2021年2月1週号&utm_medium=email

1.全国的に人の移動が前年比減少
こちらは年ごとの移動者数推移です。こちらのグラフが示すように、そもそも日本における人の移動は、50年程度のスパンで右肩下がりで推移していました。
2010年代にやや回復の動きをみせていたものの、2021年はコロナ禍もあり前年比で減少しています。

概要は以下の通り。
• 2020年の日本国内における市区町村間移動者数は525万5721人となり,前年に比べ2.7%の減少
• 都道府県間移動者数は246万3992人となり,前年に比べ4.1%の減少
• 都道府県内移動者数は279万1729人となり,前年に比べ1.5%の減少

2.東京都の転入超過幅が減少
(JIJI.COM 2021年2月1日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012900872&g=pol&utm_source=BenchmarkEmail&utm_campaign=2021年2月1週号&utm_medium=email

これまで東京都へは最も多くの人口が転入していました。しかし2021年はその幅が減少。2019年が82,982人の転入超過であっった一方、2020年は31,125人と、超過幅はマイナス51,857人となっています。

これは
• コロナで人口の密集している都市部での生活を嫌がる方が出たこと
• テレワークの推進で、都心でなくとも業務ができる環境が整ったこと
などが理由として考えられます。

さらに東京都の人口移動を月ごとで見てみると、実は7月以降転出超過で推移しているのです。
参考ニュース:東京、6カ月連続転出が上回る コロナ禍で近郊へ―20年の人口移動(JIJI.COM)
それでは、人々は東京からどこへ移動しているのでしょう。

3.人の流入は東京圏や特定の都道府県に集中
前述のグラフを見ると、2020年に転入超過している都道府県は全部で8つ。東京都,神奈川県,埼玉県,千葉県,大阪府,福岡県,沖縄県、滋賀県です。

さらに、3大都市圏別に見てみましょう。
• 東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)は9万9243人の転入超過
• 名古屋圏(愛知県・岐阜県・三重県)は1万7387人の転出超過
• 大阪圏(大阪府・京都府・兵庫県・奈良県)は118人の転出超過
このようにみると、東京圏への人口集中が進んでいることがわかります。東京都から転出を行った人の多くは、神奈川県や埼玉県、千葉県などの周辺部に移動しているのかもしれません。

コロナ禍やテレワークの推進で、地方への人の流れが生まれつつあるとの言説も見聞きしますが、実際は東京近郊にだけ人が流れていたり、地方の都市部に人が集中しているようです。
転入超過の多い市町村ランキングにおいても、上位に来ているのは地方の主要都市、または関東の地方都市がほとんどです。
弊社の場合も、コロナ以降全社的にテレワークが行われるようになりました。
とはいえ、いつテレワークが解除されるかわかりませんし、いざという時にオフィスへアクセスできる場所でないと不安もつきまといます。そういった意味では、関東県外に引っ越すのを躊躇する人々の気持ちはよくわかります。
日本政府では、さらなるテレワーク推進を行う動きを見せていますが、この状態が恒常的であることが共通認識にならなければ、人々の地方移動はなかなか進まないのではないでしょうか?