日本の航空会社の回復状況を「ANA × JAL」で考察、遅れる国際線の増便、2022年の座席供給はコロナ前の3割減
(トラベルボイス 2022年12月14日)
https://www.travelvoice.jp/20221214-152578

【ホッシーのつぶやき】
2022年12月の日本の航空会社の座席供給量は約3000万席で、2019年比では30%減になる。そのうちで国内線10%減だが、国際線は77%減になっており、国際線の回復の遅れは中国へのフライトが限定的であることだ。
全ては中国の「ゼロコロナ政策」次第だが、緩和の動きが活発になっているので、日本の国際線市場も中国の動向次第になるようだ。

【 内 容 】
航空データ分析を提供するOAGは、事実上国境が再開された日本の航空市場について考察している。2022年12月の日本の航空会社の座席供給量は約3000万席。2019年同月比で依然として82%にとどまっているものの、2022年1月比では27%増となり、着実な回復を見せている。2022年通期では前年比41%増、2019年比では30%減になる見込みだ。

2022年12月の提供座席のシェアを見ると、ANAが34.4%、傘下LCCのPeach Aviation(ピーチ)が7.6%となり、ANAグループは42%を占めた。一方、JALは26.4%、傘下LCCのジェットスタージャパンが3.7%、スプリングジャパンが0.2%、ZIPAIRが0.2%でJALグループとしては30.5%のシェアとなった。

世界ではフルサービスキャリアよりもLCCの方が供給量の回復は早かったが、日本は例外。パンデミック前のシェアは約20%だったが、2022年1月は21.3%、2月は24%と拡大したものの、12月は22.7%に落ち着き、パンデミック中もシェアにほぼ変化はなかった。

OAGでは、日本のLCCの今後の成長は、親会社のフルサービスキャリアとの競合がどれくらい許容されるかによって変わってくると分析している。例えば、Peachに関すると、成田/札線では2021年3月以降競合はないが、来年1月からはANA、JALとも運航を再開すると見られている。また、関西/札幌線も、2020年10月以降競合はないが、JALが2023年1月に復便する。

来年の国際線の供給量は中国の国境再開次第
日本の国際線については、10月に国境が再開されたにもかかわらず、供給量の回復には時間がかかっている。2022年の全体の供給量は2019年比で30%減だが、国内線の10%減に対して、国際線は77%減になっており、2022年12月だけを見ても、国内線の2%減に対して、国際線は54%減となっている。国際線の遅れの大きな要因は、中国と香港へのフライトが依然として限定的であることだ。

航空会社別で見ると、2022年12月、ANAは47路線を運航。これは、2020年3月の64路線以来の多さに回復している。まだ復便していない主要な路線には、羽田/ハノイ、羽田/ミュンヘン、成田/デュッセルドルフ、成田/台北、羽田/パンクーバーなど。OAGよると、データからは、ANAが路線の回復よりも、提供座席数の回復に重きを置いていることがわかるという。

一方、JALも2022年を通じて国際線の復便を進め、月間の供給量も2倍になった。復便した路線は限定的だったため、1路線あたりの供給量は年初比で80%増となった。

OAGでは、2023年の日本の国際線市場は、中国の国境再開次第とみる。国境が再開されれば、特に中国から日本への旅行需要が高まると予想されることから、航空会社はその準備に追われることになるとしている。