東京オリンピックで「ホテルは不足しない」の最新試算、供給増で、一方で東京・大阪の客室稼働率が大幅低下の予測も(トラベルボイス 2019年11月30日)https://www.travelvoice.jp/20191130-142321

みずほ総研が、2020年の訪日外国人数を3400万人と予想した。日本人需要の増加による宿泊者数が増加するが、宿泊施設の供給増によるホテル不足は発生しないと試算した。宿泊施設の供給増で、大阪における客室稼働率は低下幅が大きくなるとも予測。オリンピックの翌年の訪日外国人数が激減する可能性は低いともいう。

【ポイント】みずほ総合研究所が「2020年東京五輪開催年のホテル需給の試算」で、訪日外国人数は3400万人と予想した。今回の試算では(1)訪日外国人の予測数のほか、(2)日本人需要の増加による宿泊者数全体の増加、(3)供給増によるホテル不足は発生しない、の3点。

オリンピック開催年のホテル不足については、2018年にホテル客室数が大幅に増加したために2020年の予想客室数を昨年試算から上方修正し、「ホテル不足は発生しない」とした。さらに、供給増の影響で東京、大阪における客室稼働率は低下幅が大きくなると予測した。

東京都内は、ホテルの供給増によって五輪効果による8月の客室不足発生の可能性が昨年試算よりも低下した。一方で、マラソン・競歩が開催される札幌市の夏場の宿泊需給がひっ迫するリスクがあると指摘した。

今回は足元の動向を踏まえて、昨夏に行なった試算から想定を変更。インバウンド需要関数による推計は行なわず、供給側データの交通インフラのみを用い、航空便とクルーズ寄港回数が現状と同じペースで増加する仮定で予測した。

特に訪日韓国人客については2019年8月以降に日韓摩擦が激化した状況を考慮し、航空便の減少や一便あたり客室数(稼働率)の減少を考慮して別個に試算した。みずほ総研では、航空会社が減便させていることを踏まえると、韓国人客が早期に持ち直す見込みは低いと想定。

東京オリンピックの開催効果については、開催地の宿泊料金の高騰や混雑を回避する「クラウディングアウト効果」が要因となり、訪日外客数が大幅に加速する可能性は低いと予測。

オリンピック翌年の訪日外国人客数については、過去の開催国で開催翌年に減少したのは、ITバブル崩壊とリーマンショックによる世界の景気後退が要因とし、東京五輪後に訪日外国人客数が激減する事態が起こる可能性は低いとも予想した。