(インバウンドサミット 2021年6月19日)

https://note.com/masaru_hoshino/n/nbf95d430d7bd

・高井 典子 – 神奈川大学 国際日本学部 教授
         https://www.ccj.kanagawa-u.ac.jp
・池尾 健 – 一般社団法人Intellectual Innovations 代表理事 ken ikeo
         https://intellectual-innovations.or.jp
・立花 千月香 – 柳川藩主立花邸 御花 代表取締役社長 chizuka
         https://ohana.co.jp
・藤本 直樹 – オランアース 設立代表
         https://orangearth01.com

【ホッシーのつぶやき】
同じものを見ても見方が違う、話す言葉が違う事はよくあります。産官学連携もこの違いからスムーズなコミュニケーションが取れない。だからこそ粘り強くコミュニケーションを取る必要があるというのが、今回の学びでした。
・「産」と「学」は同じものを見ても見え方や言語が異なる。異質性こそ大事
・観光客が増えても恩恵を受けている人は一部
・内の人と外の人が混じり合う場から、新しい解決策は生まれる
・地域(祭)に興味のある若者と、地元の住民がマッチングすれば、文化の継承につながる
・“おもてなし”はお金が介在しないと無償奉仕の面が強い
・“教育””おもてなし”(プロダクトアウト)と “お金”(マーケットイン)のバランスが大事

高井:「異質性を生かす観光の産学連携」というタイトルでお話を進めます。去年12月、「インバウンド観光 再出発のガイドライン」を作成した時、私は第10章の『「日本人を呼べないと、外国人も呼べない」新しい国内観光再構築が、明日の訪日観光の底上げに』を担当し、それが「人材の多様性」と「変わる」がテーマだったので、今回のセッションは「インバウンド」と「変わる」を掛け合わせ、教育者の立場から「産学連携」と考えました。産学連携をされている方の話を聞いて出てきたコンセプトが「異質性」でした。「産学連携」の本質は、異質なもの同士が向き合って事を起こすことによって変わるのだと思います。関東セッションですが関東に特化せず、またインバウンドにも特化せず話を進めたいと思います。

 それでは皆さんに自己紹介をお願いいたします。

池尾:池尾と申します。一般社団法人 Intellectual Innovations で教育分野、フラットコラボレーションという会社で企業投資アドバイザリーの仕事をしています。もともとホテルで働いて、その後、ニューヨーク大学でファイナンスや不動産としてのホテルを勉強し、投資ファンドの「ゴールドマンサックス」などで働き、ホテルのビジネス再生の中で、”おもてなし”にも関わりました。ホテルは労働集約型ですが、「人」にもう少し長く付き合えると考えると「教育」につながり、立教大学観光学部、京都大学大学院で教えるとともに、行政の受託事業で観光経営人材を育てる仕事に関わっています。
 後、「ツーリズムアカデミーSOMEWHERE」という取り組みで、メインパネルで話された龍崎さんと、オンラインをベースにしたアカデミーを主宰しております。こちらは、龍崎さんが見ている世界だとか、龍崎さんを支持している若い層に向けて、日本の観光を押し上げるような取り組みをしています。

立花:福岡県の柳川で「柳川藩主立花邸“御花”」の代表の立花と申します。初代柳川藩主、立花宗茂の末裔で18代目になります。敷地7000坪に屋敷があり、祖父母の代からこの文化財を使った料亭旅館を始め、その経営に携わっております。また柳川観光協会にも関わり、観光庁が推進している「ナイトタイムエコノミー」に採択され、「水辺の夜市」を企画するなどの“まちづくり”にも力を入れております。先ほど池尾さんからご紹介のあったsomewhereの“ホテル運営論”に登壇させていただき、日本の観光の未来を作ることに携わろうと思い、このセッションにエントリーさせていただきました。

藤本:藤本(25歳)と申します。昨年まで立命館大学大学院で地域観光学を専攻していました。研究者として現場に何か還元したいという思いのなかで、2017年から京都府伊根町にて産学官連携で、都市農村交流事業を行う「オランアース」を設立し代表を務めています。実際の現場では、言語の違いからくるコミュニケーションギャップを感じることが多く、ギャップを埋めるためにも現場で働いています。
オーストラリアやインドネシアにも行き、現地のコミュニティに触れた経験からも、「コミュニティのあり方を、観光によって変えることができないか」という発想を持ち、「オランアース」を運営しております。

高井:本日のファシリテータを務めます神奈川大学国際日本学部の高井でございます。大学卒業後、三井物産に5年ほど勤め、大学教員になり25年が経ちました。
 三井物産に努めた時はバブルの絶頂期で、商材とルートを組み合わせた新規事業の開発に関わり、その発想がずっと影響していて、何処に行っても異端と感じていましたが、池尾さんから「高井さんは中途半端な所が良いね」と言われて、やっと「弱みが強み」だと気が付きました。
 それではセッションの導入部分の話をさせていただきます。
 観光学だけではなく現実の事象を研究している者は、現実と理論、机上と現場を行き来しています。研究者の立場から言うと、私は現実の場を貸してもらって勉強させてもらっていると感じていて、ニセコや鎌倉、神奈川県の企業様と取り組みをさせて頂きながらも、相手の言葉に合わせてうまくやろう、それを通して学生に学んでもらおう、研究者として突き詰めたいという所があり、「異質性こそ大事じゃないか」と思うようになりました。今日のセッションで話し合いたいと思います。
 先ず、池尾さんと立花さんが一緒に取り組まれている話をお願いいたします。

池尾:私が馴れ初めを話し、立花さんに具体的内容をお話いただきます。
 私は立教大学観光学部で教員をしており、L&Gの龍崎さんとツーリズムアカデミーSOMEWHEREを運営する中、「地方創生とホテル運営を考え直す。立教大学「ホテル運営論」の講義」に取り組みました。その企画している時に龍崎さんから紹介されたのが立花さんでした。講義は成功裏に終わり、その延長線で「文化財に泊まれる“御花”でインターンシップ」にも取り組みました。
 立花さんの運営されている柳川藩主立花邸“御花“は、シニア層には認知度が高いのですが、若者に知ってもらう事が文化財の存続になると考え、インターンシップにつながりました。NoteやSNSでインターンシップを募集した時は、全国から応募があり、これがインターンシップを始めるキッカケになっています。

立花:「ホテル運営論」のゲストスピーカーに呼んでいただいて最初に思ったのが、学生、若者に“御花”の存在を知ってもらいたいでした。110年前の建物ですが、この文化財を維持するため、その文化財をいかに活用するかを考えるなかで、若者のアイデアをたくさんいただきたいと思い、「文化財を遊び倒す」というインターンシップ募集のタイトルとしました。そのアイデアの中に「文化財を活用して成人式のプランを作りたい」という提案がありました。コロナ禍で成人式ができなかった若者たちに宿泊プランを考えてもらって、販売までお手伝いしてもらおうと、SNSだけで10名を募集したところ32名に応募いただけました。
 全国から受け入れており、講義や企画はオンラインで行いました。とは言え “御花“に来たことがないという学生ばかりでしたので、“御花“を知ってもらうため柳川に2泊3日で滞在してもらいました。その時に、柳川の川下り運行会社さんや海苔の生産者さんなどの重鎮を呼んで交流してもらっています。明日が採択プランの発表日になりますが、10月から12月まで販売の活動もしていただきます。

高井:応募者32人は、どのような専門を勉強している学生さんだったのですか?

池尾:観光学部の学生の申し込みが多いと思ったのですが、SNSで呼びかけたこともあり、芸術大学や理工学部、また全然違うメディア系や経営と、全国各地から多彩な方が応募してくれて、僕も立花さんも1人ずつインタビューして12人を選びました。

藤本:若者をどう巻き込んでいくかと言うところがキーワードだと思うとともに、SNSも上手く活用されており、とても面白い取り組みだと思いました。
 私の取り組みは京都府伊根町です。伊根町は観光客が定住人口の170倍も訪れ、インバウンドも台湾人などが多いですが、私たちの地域は舟屋地域から少し離れた本庄地区です。この地域は担い手が年々減少していて、地域課題を解決するシステムが崩壊しつつあります。一方、地域資源、観光資源は豊富で、その資源を活かすため、2017年に都市農村交流を基盤にした地域課題を解決するシステム再構築のプロジェクトを開始しました。「オラン・ハウス」という空き家を伊根町から借用して交流拠点とし、地域に大学生や留学生が入り込み、混じり合う場を作ることによって地域課題を解決する活動をしています。年間を通じて色々なプログラムがあり、能のパフォーマーとの交流や、留学生との交流、ワークショップの開催、農家さんとのコラボレーション、地域事業者との連携などの活動をしています。学生が主体になったツアーの開催、祭りの担い手が少なくなるなかで、学生が担い手になり一緒に祭りを作っています。
 活動開始して5年目ですが、こうした関係性を基盤として、地域の生産者さんと学生が一緒になってECサイトを立ち上げ、ふるさとの味「オラン・ボックス」を都市に届けるビジネスも展開しています。

高井;立花さん、同じような課題を持っていると感じましたけどいかがですか?

立花:地方がどんどん衰退していくなか、祭りの担い手がいないという問題が全国的に広がっているので、学生や留学生と地域の人が一緒に祭りを守るというのが、関係人口を増やす凄く良い取り組みだと思いました。

高井:ここからは「何故こういう取り込みをしているのか」、その背景にある問題意識などお話いただければと思います。

立花:私が「ホテル運営論」のゲストスピーカーに登壇して一番驚いたのは、立教大学は日本でトップの観光学科にもかかわらず、就職先がほとんど観光系ではないということでした。これから一生懸命にインバンドツーリズムをやろう、観光立国になろうと言っているのに、若者に興味を持たれる職種になっていないということに大変ショックを受けました。
 今回、その若者たちに一緒にインターンしませんかと声を掛けた時も、そもそもホテルで働きたいという人がいなかったのです。でも学生のみんなに聞くと、ホテルで働きたいというよりも、龍崎さんの影響が大きいと思うのですが、女性の学生はホテルを作りたい、経営したい、企画をしたい、建築の面からホテルにコミットしていきたいと言う声が大きかったのです。
 地方に興味がないわけでもなく、まちづくりに興味がないわけでもないのに、観光の仕事とのマッチングが取れていないことに愕然としました。今回のインターンを使った取り組みで、学生さんやインバウンドのお客様と地域が手を組み、担い手がいない、後継者がいない、人材不足という地域の課題を解決する仕組みを作ると、地方も疲弊することなく文化も残せると感じました。

池尾:僕が投資という世界から教育の世界を見ると、”お金“と“おもてなし”が対になり、”教育“と”お金“も対になると感じました。これは対立軸ではなくて、どこでバランスを取るかの問題になります。

 “おもてなし”はお金が介在しないと無償奉仕の面が強くなりますが、その代わり“思いがこもった質の高さ”が磨かれます。これは職人さんの「自分が届けたいものを作る」と似ていて、プロダクトアウトの要素が大きいことになります。反対に“お金”で考えると、交換するという対価性が強くなります。無償の”おもてなし”のように自己犠牲で成り立っていると、持続できなくなるので、それを防ぐためにもお金という選択肢もあると思っています。
 投資の世界でも、ニーズがあるもの前例があるものに”お金”は流れ、これはマーケットインの考えになります。“おもてなし”“教育”はプロダクトアウトのケースが多く、顧客ニーズとしての“お金”のマーケットインの考え方とのバランスが大事だと思います。

高井:藤本さん、今の話の感想とコメントをいただけませんか?

藤本:すごく面白かったです。”おもてなし”と”お金“が相反するという考えが興味深かったです。産学連携ということ自体、研究者として突き詰めていくので“お金”にならないですが、相反するからこそ、何か新しいものが生まれる可能性があると思いました。

高井:少し議論をしたいと思います。ツーリズムアカデミーSOMEWHEREのnoteに、観光学部の学生が「観光に対してネガティブなイメージを持っている」「何を学んでいるのかを自分の言葉で説明できない」と書かれていることに凄い衝撃を受けました。近代社会の登場とともに登場してきた観光産業に対し、批判からスタートする研究領域もありますが、このメッセージだけを学生が受け止めてしまい、観光を辞めようとなったら、あまりにも勿体ない話です。
 「知」というのは一人一人の業績もあるのですが、もっと大きな知の体型、これを「共同の集合知」と読んでいますが、一人一人の研究者が研究するということは、過去の偉大な研究成果の上に小さな石を積み重ねて、それを共有し、研究者が死んでも、後世の人がその研究成果の上で成り立つのです。龍崎さんが公開講義に使った「自分の中で問いを立てる4つの視点」として、顧客にとってのニーズは何か、経営者として事業をやるべきかどうか、メディアが注目するに値する価値があるか、最後に「神の目」と言われていて、顧客にとっても、経営者にとっても、メディアにとっても価値があったとしても、社会全体を考えた時に良くないと思った時は、「しない」という軸を持つと仰っていたように思います。
 なので、観光を勉強している学生が、観光を否定された気持ちになったり、自分が何を言っているのか分からない。そのような人たちの目も持ちながら、観光を前に進める必要があり、そういう人を作るための「学」と「産」の現場の言葉が交わり合う所として、産学連携が求められているのではないのかと思いました。

 そこで藤本さんに話を伺いしますが、藤本さんは大学院までいかれて、研究者になることを志しておられるので、どのような問題意識を持っておられるのかをお聞かせください。

藤本:伊根町は、定住人口の170倍の観光客が訪れる地域で、これだけ観光客が増えても、恩恵を受けている人は一部ということに問題意識を持っています。「インクルーシブツーリズム」の概念を紹介しますが、観光があらゆるステークホルダーを引っ込む産業にはなりますが、一部の人たちにしか恩恵が行き渡らない構造を持っていて、例えば、農業に従事している人たちが観光に関わりたくても、関わることができない状況や、あるエリアは観光マップに載るけれど、そうでない場所もインクルージョンされないようするにはどうしたらいいかを分析する概念です。
 このような問題意識を持って伊根町に入り、この問題を解決するために始めたのが「産」と「学」が関わる場所を作ることでした。「産」は地域で従来からの課題を解決するため活動している人たちがいて、このような人達は、地方に行けば行くほど硬直化する傾向があり、一方で「学」は、遠くから来る学生や外国人を含む広い意味でのツーリストですが、そうしたツーリストが地域の人と交流することで全く違う事が起こるのではないかと考えて、「オランアース」を展開しました。
 例えば、農業に従事している人たちは生産物を作り、それを流通網に乗せていますが、学生が参加することで、新しい魅力を学生が見せることも起きます。こういう異文化コミュニケーションを推進するのも産学連携の目的の一つですが、コーディネートする中間組織やコーディネーターの人たちが凄く重要になるという課題もあります。
 これまでは「オランアース」の中心メンバーがコーディネーターを担ってきましたが、活動開始から5年も経つと、初期メンバーが離れるので、引き継ぐのが難しいという課題があります。

高井:一人産学実践者の藤本さんは、「学」から出発しているけど、現場で「産」に入って、「官」である自治体から空き家を提供してもらうという、良いトライアングルができていると思いますが、藤本さん自身が創設者だからできるのでしょうか? 藤本さんのように「どちらの言葉も分かる人」は育つのでしょうか?

藤本:実際に、“汽水域”に来られるツーリストや学生は大勢おられますが、そうした人たちがいる一方で、産官学の間に入ってコーディネートできるか、ここに来るだけで人材が育つかというと難しいと思います。

高井:藤本さんは研究者志望なのだけど、一段上から現場を作っているので、次に渡していく人を育てる必要があるのかなあと思いました。池尾さん、立花さんはどのように感じられましたか?

池尾:汽水域は僕も取り組んでいて、一つの機関や、企業、学校にはできることに限界があり、誰と一緒にやるかを考えることが重要だと思います。「官」には「官」の言葉や思惑があり、「産」にも、「学」にもあるので、それをつなぐ汽水域は、高井さんが話された「異文化コミュニケーション」にも通じると思います。

高井:池尾さんたちは「越境」という言葉を使っていますね。

池尾:観光の主流だと言われている人たちだけではできないことを、観光の外から人を連れていくことで人は刺激を受けます。観光に興味を持っている外の人たちも、今までの積み重ねを毀損しないようにアカデミーを運営しています。

高井:残り10分なので、1人2分ぐらいでお話をお聞きしたいと思います。

立花:産官学の皆さんの目指すところは一緒なのに、何故か共通言語として話せない、それぞれ違う力を発揮しておられるように感じました。
 私の立場としましては、沢山のインバウンドのお客様に日本に訪れてもらうためにも、もっと利益を出して儲かる仕組みを作らないといけないと思いました。そして今の学生たちがもっと働きたくなるような、キラキラとした観光のあり方でないと、遣り甲斐だけで疲弊してしまうと感じました。また藤本さんの話のように、一生懸命に研究しているだけで、どうマネタイズされるか、どう現場に活かせるか、それぞれの連係が取れるように、神の目を持った人が良い循環を作ってくれたらと思いました。

高井:セッションするに当たって4人で2回ぐらい意見交換し他のですが、最初の内は話が通じず、立花さんが「藤本さんのように凄いことを考えている人から私も学びたい」と仰ったことが印象的でした。

藤本:どうしたら観光の現場に還元できるかを日々考えていて、今日のセッションも、これまで考えてきたこととリンクする話も結構ありました。これを一言でいうと「デザイン思考」だと思います。デザイン思考は、まず問題を明確に定義する必要がありますが、目の前で起こっている課題を単純に捉えるのではなくて、持続可能な開発とか、もっと広い視点で捉える必要があると思いました。“神の目”を持った上で、そこから自由な発想でデザインする。イケてるデザイナーがいけてるデザインをするように、クリエイティブにデザインしていくことが、観光の中で広がれば裾野は広がると思いました。

高井:これまでの観光教育は川下の話が多く、素材の話から考えると、観光学に捉われない色々な学問からアプローチできると、藤本さんと話をしていました。

池尾:今回のセッションで、青木さん、高井さん、立花さん、藤本さんと接点を持つことができて、新しい化学反応の可能性を感じておりの、本当に嬉しかったです。今、70名から80名の方が見られているのと、250名ぐらいの大学関係や学生さんも参加してくれているので、日本の観光を盛り立てることを目標に、「産官学」という手段を通して仲間が見つかれば良いと思いました。日本には800大学があり、そのうち観光学部が40大学ありますが、今回の立花さんとのインターンシップは、観光ど真ん中以外の方へと広がっているので、全員で取り組んでいければ良いと思いました。

高井:最後に”まとめ”させていただきます。
 私はビジネスの世界から出発したので、地域や産業界の方をお客様として考えてしまう癖が抜けきらないのですが、あえて違う言葉で話して良いのだ。少し言い方を変えることが重要で、それによって異質性を活かすことができると感じました。
 産学連携は異文化コミュニケーションであり、何か事を起こす時は、違う言葉を喋る人、違う知見を持つ人が同じ船に乗ってくれないと沈むことあります。新しい目的地に漕ぎ出す時は、色々な人が一緒に乗ったほうが危機にも備えられます。産学連携とは、そういうことではないかと思いました。
 文化財、地域の文化、地域のコミュニティを守るためにこそ変わらなければならない。守るべきものがあるから違う知恵を入れていく必要がある。2組の取り組みはそれを実現されていたと思います。
 インバウンドで、文化の違う人、言葉の違うお客様を受け入れることと似ていると思いました。インバウンドバブルが起こる前は「外国人のお客様を受け入れたくない」という人も一杯おられ、今でも「できるなら日本人のほうがいい」と言われる方もおられるかもしれませんが、インバウンドを受け入れた地域の事業者さんは、凄く苦労をしながらも、気づきが一杯あって、変えていくことで新しい風景が見えたと言う話もよく聞きます。
 今日の私たちからのメッセージですが、産の方へ、研究者の言葉わかりにくいかもしれませんが、どうか我慢して相手をして下さるようお願いします。議論する時、同じ言葉を喋る者同士だと議論が深まっていいのですが、あえてそこから飛び出す事も必要では無いかと思います。

 そして今日、「官」の話ができなかった事は申し訳ありませんでした。これからも色々なサポートをお願いいたします。そして是非、私たちと一緒に取り組んでいきましょう。
 参加してくださった皆さんどうもありがとうございました。