7/27日経新聞の夕刊に橋爪紳也教授の記事が掲載されていたのでポイントをご紹介する。

・  世界の海外旅行者数が初めて10億人を超えた。アジアもアフリカも含めた世界的な「流動社会」が到来している。
・  江戸時代の日本は、関所などで自由に移動できなかったと考えられてきたが、大阪を中心に宿屋のネットワーク「浪速講」等が既にあり、荷物を先に送る手配や決済など安全に旅ができる仕組みが存在していた。
・  20世紀の初め欧米人が世界を旅するようになり、戦後は日本が続き、21世紀は中国やインドの人も海外旅行を始めた。これは、ほんの百年ほどの歴史のこと。
・  観光にも、滞在しながら生活・文化に触れる「ライフスタイルツーリズム」も登場している。
・  日本の観光業は1970年〜80年代はアジアでのトップレベルだったが、国内観光重視の内向きできたため遅れを取った。京都でさえいまだに団体客仕様の面が大きい。
・  新興国の経済発展やLCCの登場などで誰もが安全に適度な価格で世界の名所に行ける時代になった。
・  従来は観光を基幹産業とするのは観光地だけだったが、今はロンドン、パリ、ニューヨークなどの都市で観光の占める位置が非常に高まってきている。
・  ロンドンのかつてはバッキンガム宮殿と2階建てバスだったが、五輪開催を期にイーストエンド地区を魅力的な場所に変えた。シンガポールも古い施設を上手に更新した。日本は70年代以降の上書きできていない。
・  日本のアニメを代表するのは秋葉原として世界で認知されている。世界的シェフのいるレストランも多く、食文化の認知度も高い。京都も日本文化や和食で認知されている。大阪は「食い倒れ」と言っても世界的には認知されていない。
・  観光地として知名度の高くない大阪を人の集まる都市にしようと、水辺の活用や斬新なイベント開催に動いている。
・  6月に大阪城西の丸庭園でオートバイのモトクロス世界大会を開催した。大阪の風景を世界の人に知ってもらう重いからだ。名所を生み出す努力をやめた段階でストックを消費するだけになる。
・  人口減と高齢化の進む中で、観光の重要性は一層高まっている。製造業は重要だが、水平分業になった段階で国境が無くなった。観光は雇用を生み出し、地域をかえる可能性を持っている。
・  住民から見ると、観光客が増えると渋滞発生など生活上マイナスと思われがちだが、そうではなく観光客が我が街にきてくれることが自分達の誇りであり、街も暮らしも良くなると思える仕組みづくりが必要だ。

⇒『びっくりニッポン(猟奇日本)』というYouTubeの動画サイトがある。中国の方が日本の驚きの生活を紹介する番組だ。素足に靴下だけで都心を歩いて、靴下が汚れていないのに驚きを表すレポートだ。日本は「ゴミが落ちていない」ことも海外の人には驚きなのだ。
日本がグローバル社会を生きていくうえでも、訪日外国人に日本のファンになってもらう仕組みが大切だと思う。

http://www.youtube.com/watch?v=-RtKGgQ5EZY