訪日中国人市場の攻略法2019、リピーター対策からマーケティング、越境ECまで最新事情を聞いてきた
(トラベルボイス 2019年1月16日)
https://www.travelvoice.jp/20190116-122801

訪日外国人の約1/4分が中国人だが、海外旅行者1億3000万人の5.5%に過ぎない。
中国人の人気の旅行先は、1位はタイで、2位が日本。
訪日中国人は29歳以下が50%を占めるといい、アニメやグルメに関心が高いという。
アリババの「独身の日」セールで「日本製は引き続き人気が高い」といい、越境ECの可能性に期待を表している。

【ポイント】
日中ツーリズム企業家倶楽部(2018年12月に設立された日本で中国人旅行者向けインバウンド事業を展開する企業が集まった会員数は150名ほど団体)が中国訪日市場を考察するサミットを開催した。

シートリップ、2019年は地方への送客とタビナカ強化
訪日中国人旅行者数は2017年は714万人、2018年の推計では800万人。訪日外国人の約4分の1。右肩上がりで増加する訪日中国人だが、中国のアウトバウンド人口は1億3000万、日本のシェアは約5.5%に過ぎない。
2017年、中国人旅行者のなかで最も人気が高いのはタイで、日本は第2位。そのうち、北海道と大阪の人気が特に高い。29歳以下が50%を占め、「学生は、日本のアニメ、グルメに対する関心が非常に高い」とした。
日本は安全というイメージが強いため、ファミリー層も増えており、なかでも女性に決定権があるという。
団体旅行から個人旅行へ、モノ消費からコト消費、都市から地方など旅行傾向が変化しているなか、シートリップは「地方への送客とタビナカを強化する」考えを示した。

中国でのマーケティングは現地発でまとまった予算を投下
高級宿泊予約サービス「Relux」は、リピーターを意識したマーケティングは行っていないとしたうえで、「1回の訪日で複数回の宿泊予約を促している」との戦略を明かした。同社の顧客層は上海と北京が中心で、30代女性の海外旅行好きがメインだという。
タビナカ・アクティビティの予約サイト「Voyagin」は、中国人リピーターの誘致について地方自治体から相談を受けているが、「台湾や香港と異なり、中国と日本の地方との距離はまだある」との見方を示した。
訪日中国人向けの飲食店予約・決済サービスを展開している「日本美食」は、中国人旅行者は飲食店で「通じない、探せない、払えない」で困っているといい、同サイトのリピート率は高いとした。また、中国人旅行者の客単価は高く1回平均1万6000円。日本食への関心が非常に高い。
ウーバーが中国で費やすマーケティング費は月1000億円にのぼる。「中国では10億円では何もできない」と指摘。予算が限られているのであれば、時間をかけて継続的に展開していくべきだ。

越境ECは日本企業にとって大きなチャンス
アリババの「独身の日」セールについて、「日本製は引き続き人気が高く。特に、花王、ユニチャーム、ドクターシーラボなどの化粧品類の中国人の購買力は高い」とコメント。
ECはメーカー直販が強いと言われているなかでも、小売業のECも好調に推移しており、中国国内に店舗持つ百貨店などではO2Oでの顧客リーチに成功していると説明した。
越境ECサイトBOLOME日本では、ライブ中継で商品説明を行っている。「テレビショッピングは衝動買いを促すが、ネットのライブ中継はメーカーや商品の信頼を高めるもの」と解説。
バイドゥは「検索キーワードは、未来性のある予測」とし、11月の中国人による日本関連検索キーワード、1位ゲルマニウム、2位シチズン、セイコー、カシオなどの時計メーカー、3位サッカーシューズを紹介した。
多肉植物や血統書付きペットなどニッチな検索が上位に入り、「意外なところにマーケットがある」と指摘した。
「中国人は行列ができる店に行きたがる」傾向を指摘したうえで、消費者動向のインサイトを掴むこと、継続的なマーケティング、投資が必要だとし、インフルエンサーやKOLを活用することの意義を強調。
マーケットは沿岸部から内陸部に広がっていることから、「越境ECの未来は明るい」と期待を表した。