「 オーストラリアから訪日する観光客の動向 」 (講演概要)
〜欧米と違うオーストラリア人市場の攻略ポイントを解説〜
JAMS.TV社 取締役 遠藤 烈士 様 (令和 2年 2月20日)

遠藤さまは、オーストラリアに23年住み、JAMS.TV社で訪日プロモーションやイベント出店のコーディネート、オーストラリア人向けの日本観光情報を伝えるお仕事をされています。また日本酒の英字サイト「Sake News」も運営されており、2020年1月10日に日経電子版にも記事が掲載されました。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO54072960W0A100C2000000?channel=DF080420167228

冒頭、私たちのミッションは『オーストラリアと日本を繋ぐ橋』になること。「日本とオーストラリアを、もっと身近にすること」ですと語り始められました。
2019年に海外旅行をしたオーストラリア人は、1,130万人(人口2,541万人)。人口の約半分が海外旅行をされ、訪日オーストラリア人は62万人です。2011年以降、毎年5万人増と成長しています。1人当たり旅行支出額が24万9千円と外国人のなかのトップで、平均滞在時間は12.8泊と長いのが特徴です。
オーストラリア人が日本を選ぶ理由は、欧米に比べて日本は近いこと。時差(1〜2時間)が少ないこと。季節が真逆(12月1月は夏休み)であることです。そしてオーストラリアは、歴史・文化が浅く、アトラクションが無いこと、そのようななかで、直航便が多いことも日本を選ぶ理由になっています。そして、オーストラリアで、今、最も注目されている旅行先は「日本」だそうです。

訪日オーストラリア人の1人当たり旅行支出額が24万9千円と外国人でトップですが、オーストラリア人の全世界での海外旅行の1人当たり旅行支出額は40万円もあるといい、日本はリーズナブルな旅行先だと思われています。
また18歳〜24歳のオーストラリア人が、 夏休みに使う一人当たりの旅行消費額は15万円〜37.5万円が21%。37.5万円以上が11%だといい、45歳以上と比べ、若い世代の方が旅行消費額の割合が高いといいます。
ラグジュアリートラベルを楽しむのは、デジタルネイティブな若い世代、裕福な女性、中華系中流階級層、若い家族、シニア層などを挙げられました。
訪日オーストラリア人は20代以下が39%、男61%、一人旅28%、パートナー旅31%とデータを示されましたので、若い世代が楽しめるコンテンツを開発する必要があると思いました。

世界各地へ富裕層旅行を扱っている「Virtuoso(バーチュオソ)」によると、2020年の旅行先は1位イタリア、2位ギリシャ、3位フランス、4位に日本が入り、人気の目的地としては、1位クロアチア、2位南極大陸、3位アイスランド、そしてこちらも4位に日本が入っていると紹介されました。

オーストラリア人富裕層の旅行動機は、1位:歴史建造物など文化的な名所を見る(53%) 2位:地域の美味しいものを食べる(48%) 3位:地域の文化体験をする(36%)とあり、ウォーキングやサイクリングなどのアクティビティを楽しむも(20%)入っています。これまでの旅行動機の、リラクゼイションを楽しむから様変わりしていると話されました。 そして今年の予算は、少なくとも225万円を予定している人が(45%) 少なくとも375万円を予定している人が(19%)もおられるといいます。
訪日プランでは5都市14泊で84万円。15都市15泊で75万円。12都市14泊で180万円などの例が紹介されました。
ラグジュアリートラベルを好む富裕層の63%が、トラベルアドバイザー経由で商品を購入しているといい、わがままな相談にも応える対応が求められるようです。
高い旅行予算を持つ若い世代はFacebookやInstagramを使い旅行商品をリサーチしており、 Facebookは全世代の平均で91%あるといいます。近年、若年層からトラベルアドバイザーに対し、 Instagramで見た写真に対する相談が増えているといい、旅行動機を起こすような写真の重要性も語られて、今日の講演を締めくくられました。

質疑応答タイムでは、オーストラリアの森林火災について質問もあり、先日の大雨による洪水で火災は終息したが、コアラなど10億の動物が犠牲になったといいます。私たちも募金を行いましたので、役立てもらえればと思っています。
今回は、新型肺炎の影響でイベントの自粛が叫ばれるなかでの開催だったのですが、新型肺炎を理由とする欠席は2名のみで、33名にご参加をいただくことになりました。会場には除菌用品も用意して、感染に注意を払うなどの対策も講じました。
交流会では、遠藤様からオーストラリアワイン2本、参加者の阿賀田様から日本酒「一の蔵」1升瓶の差し入れがあり、とても和やかな交流会になりました。