「奈良公園のさらなる魅力向上」 ~ 世界に誇れる奈良公園~ ②
竹田博康 様 奈良県地域デザイン推進局次長
(観光のひろば 2023年3月3日)

【ホッシーのつぶやき】
第50回にふさわしい『観光のひろば』でした。
奈良公園近辺には宿泊施設も増えつつあるなか、奈良公園から周辺エリアへ観光を広げるためアクセス改善も欠かせない。
天然記念物の鹿の知らない話、奈良公園の紅葉を作り出すナンキンハゼが外来種で在来種が犯されつつある話、景観を保つための植栽の管理など多岐にわたる話だった。

【 内 容 】
 若草山の眺望が悪かったので、石段を低くして、芝を養生し、若草山の魅力向上にも取り組まれ、猿沢池の北側にウッドデッキの整備、県庁東から大仏殿交差点までの歩道整備、氷室神社の裏に抜ける道の整備など七面六臂の活躍です。

 奈良公園は広いが故の課題もあります。若草山は昔のような賑わいが無くなっており、入山者はピーク時の1/4に減少しています。興福寺を観て、春日大社に赴き、東大寺を拝観する周遊コースにも取り組んでおられます。

 奈良は、若草山や東大寺を見上げる眺望も素晴らしいですが、若草山や二月堂から奈良市街を見下ろす眺望も素晴らしいので、アクセス改善や、モビリティの検討も重ねておられます。

奈良公園は良い所だが、アメニティ向上や、アクセス整備に取り組まないとその良さが伝わらないと話されました。

 また奈良公園を楽しむため、1999年から「なら燈火会」、2010年より「なら瑠璃絵」、1900年から続く「若草山焼き」の魅力向上、新しい取り組みとして2017年より「ならまた遊歩」や、2021年より「きたまちといろ」などのイベントにも取り組まれています。

 そして「奈良公園の主役」は『鹿』と話は進みます。
 奈良公園には1182頭が生息し、1頭が1日に出すフンは700g~1kgで、年間367tにもなるそうです。そのフンを「フン虫」が処理するといい、芝の養分になるとともに、衛生的な環境を維持する源にもなっているとのお話でした。

 奈良の鹿は天然記念物なので、鹿を保護するエリアとそれ以外のエリアに区分されていること。鹿による人身事故も増え、近年、外国人の事故が増えていること。春の子鹿の養育期のメスや、秋の発情期のオスに要注意であること。鹿の交通事故も増えており、ビニール袋を食べて亡くなる鹿もいること。鹿の餌は、証紙を巻いている「鹿せんべい」だけをあげてくださいとのお話でした。

 次に春日山の原生林の話でした。「原始林内に生息するシカの食害により照葉樹林が劣化」していること、鹿が食べない外来植物「ナンキンハゼ」等が増えており、「ナンキンハゼ」は紅葉がキレイと喜ばれるのですが、照葉樹林が減っており、「ナンキンハゼ」の駆除にも取り組んでおられるそうです。

 奈良公園の植栽は、時間の積み重ねが作り出し、多くの文化財と一体となっていること、また「人と鹿によって作り出されている」景観でもあります。
樹木は成長するので景観も変容していくので、樹木を剪定して、昔の絵姿に戻すことも重要であるなど、多岐に渡るお話でした。

 本当に多岐に渡るご活躍で心から敬意を表したいと思うとともに、これまで奈良公園がどのように整備され、これからどうなっていくのかがよく分かる講演でした。竹田さんありがとうございました。