友人Qさんの、「ななつ星in九州」の旅のレポート⑤を転載させていただきます。
今回は「ななつ星」の車内の状況を紹介してくださいました。

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『ななつ星』は9両編成、私達の部屋は6両目の603号室だった。
1号車は正面が全面ガラスのラウンジカー「ブルームーン」、2号車がダイングカー「木星」で厨房がある。3号車から7号車が客室で、1車両に3室のスイートルーム、7号車のみ2室のデラックススイートになっている。

各客室には。寝るときにベッドになるソファーとデスクが備え付けられている。内装は赤みのかかった木肌の美しいカリンが使用され、水回りにもふんだんに木が使われていて満足いくものだ。お湯を出すと檜の香りで満たされるシャワールームも素晴らしかった。
木製の蓋のトイレ、そして、人間国宝・14代酒井田柿右衛門氏の七角形の洗面鉢が収められた洗面台が備えられている。 

デスク下には飲み物が入った冷蔵庫が組み込まれていた。「ななつ星」で世話してくれる原尻さんに「ビールは?」と訊くと、プレミムモルツの瓶を取り出してくれた。飲み物は全て無料だが、アルコールドリンクの追加分は有料とのことだった。
列車内のラウンジでも飲み物は提供されていて、アルコールは有料、他は無料となっていた。

窓の建具は、プリーツカーテン、障子、簾、木戸と4重になっている。

車窓に目をやれば、沿線には「ななつ星」に向かって手を振ってくれている人々がいる。
これまでも試験運転列車は見ていただろうが、カーテンが開かれ、室内がランプの明かりに照らされ、旅客の姿が見えることで「ななつ星」が完成するようだった。

初走りの勇姿を記憶に止めようと、多くの人たちが沿線に立ち手を振ってくれている。「ななつ星」が手を振って返すわけはないので、我々が両手を振ってお返しをした。

これが「ななつ星」に乗ることの最も大きな喜びとなった。

これからあとの便でも、きっと九州の方々は手を振ってくれるだろう。
しかし、ファースト便は人の数も、手の振り方もきっと大きいに違いない。いかにも
有名人になったような錯覚に陥りながら手を振り返していた。
 
人から勇気をもらうと言うが、この手振りの交換は喜びの交換でもあるのだと思わずにはいられなかった。

(つづく)