『インバウンドサミット2021』 〜日本のインバウンドは終わったのか?〜
(オープニングメッセージ 青木 優(MATCHA代表取締役) 2021年6月11日)
https://www.youtube.com/watch?v=epp1AjB8aUU&feature=youtu.be

【ホッシーのつぶやき】
 コロナ禍により「日本のインバウンドは終わったのか?」の設問から起こり、「インバウンドの意義を再認識」するプロセスって、コロナ の後で考える必要のある大切なことの一つだと感じます。
 青木さんは、「日本のインバウンドのあるべき姿は?」「インバウンドの意義は?」「どういうアクションを取るべきか」について真剣に考えられています。
 毎週水曜日の勉強会でも、多くの参加者から知見が共有されており、「日本のインバウンドは終わっていない。これから始まるんだ!」という息吹を、私も感じています。
・資料の公開は(株)MATCHAの了解を得ています。
・資料の二次利用は、趣旨を違えないことを条件に、自由にお使いください。


【 内 容 】
登壇者105名、参加者3600名、そして実行委員40名に支えられて実現できていることに感謝します。

 私(青木)は(株)MATCHAの代表をしています。MATCHAは8年前に設立した訪日外国人向けのメディアを運営しています。会社の理念は「日本の価値ある文化が時代とともに残っていく」ことです。
 新型コロナで、2020年5月のインバウンド観光客数は-99.9%となり、メディアの方に「インバウンド市場が消滅した」と言われました。そして「本当にそうなんだろうか」と考えました。多くの方と話をして「インバウンドの意義を再認識」しました。
 “世界から見た日本のインバウンド“の視点から見ると、国際観光収入は、1位がアメリカで、2位がスペイン、3位フランス、4位タイ、5位イギリス、6位イタリアとなり、そして日本は7位です。この10年間で447%成長し、世界で一番伸びている国です。

 “インバウンドを輸出産業と捉える”と「訪日外国人が来るということは外貨を獲得する」ことにつながり「輸出産業」だといえます。2018年の貿易統計で1位は自動車産業12兆円。2019年のインバウンド産業は4.8兆円で、自動車産業に次ぐ2位になりました。政府の訪日目標の6,000万人を達成して、観光客1人あたりの消費単価が25万円まで上昇すると、2030年には15兆円になり自動車産業を抜いて、日本を支える大きな産業になります。

 “インバウンド復活に向け3つのフェーズ”があると考えます。第1フェーズは、旅行者数が激減・再開の見通しが立たない状況、第2フェーズは、コロナワクチンの普及・半年以内のインバウンド再開の見込み(現在)、第3フェーズは、インバウンドが再開して、日本の産業になり得るか試される時期だと考えます。

 今、「国際観光が急速に戻り始めて」います。そして「インバウンド観光とは世界戦」になります。外国の方にとって、日本は旅行先の選択肢の一つに過ぎません。コロナの状況の中でも、各国は「自国の観光の魅力」を磨いており、日本も「インバウンド再開に向けてしっかり準備しなければならない」と考えています。
 しかし日本が「インバウンド再開に向けて正しい準備ができているか?」というと、「否」と言わざるを得ません。しかし「インバウンド復活に向けて準備をしている方」もたくさんおられます。

 本『インバウンドサミット2021』の目的は、「広く知見や戦略を共有し、来るべき再開に向けて議論し、特に結論づけていく場」にしたいと思っています。
 そのため「日本のインバウンドのあるべき姿は?」「インバウンドの意義は?」「どういうアクションを取るべきか」についてしっかり議論したいと考えています。
 登壇者の105名と打ち合わせをして、観光の裾野の広さをあらためて感じました。また「観光は日常の裏返し」と思いました。我々日本人が日常の中で積み上げてきた地域の当たり前の文化が、世界から見ればすごく価値があることだと気付かされました。

 昨年も登壇された方から、この「インバウンドサミット」は「フジロック」だよと言われました。
 インバウンドに取り組んでいる方って、明るい気持ちを持ち、エネルギーを前に向けている方が多くいらっしゃります。そのような気持ちを共有していきたいと思っております。
 本イベントは単一開催のものではなく、段階立てていくものと考えています。昨年開催した1回目は「実態を知り、知見や戦略の共有」するでした。また、このサミットを通じて「インバウンド復活のガイドライン」を作成して公開しました。今年の2回目は「戦略や草案をブラッシュアップ」することです。次の3回目は「草案をまとめ上げ、国に提言」し、今回のサミットに答えていく時期だと考えています。

 このインバウンドサミットを1回で終わらせる気持ちではないということです。
 「日本のインバウンドは終わっていない。これから始まるんだ!」という空気を、ここに参加いただいている約3600名の参加者の皆さんとともに作っていきたいと思っています。