インドネシア、コモド島入場料値上げ、保全か振興か波紋広がる
(日本経済新聞 2022年8月9日)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63278400Y2A800C2FFJ000/?unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
インドネシア政府は人気観光地のコモド島の入場料を一律375万ルピア(約3万3700円)と25倍に値上げした。これまでは平日で地元観光客が5000ルピア、外国人が15万ルピアだった。
世界各地で「自然保護と観光経済のバランス」を取る動きが出ている。
国による考え方もあり価格設定もまちまちだが、大きくはこの方向に動きそうだ。
意義は理解できる。しかし金持ちしか観光に行けなくなる時代が来るようで気持ちが悪い!

【 内 容 】
インドネシア政府は1日から人気観光地のコモド島を含むコモド国立公園の入場料を大幅に値上げした。訪問客数を制限し観光地としての価値を保全する狙いだ。一方、地元の観光業界から反対の声が上がるなど、波紋も広がっている。

公園は世界最大のトカゲ「コモドドラゴン(コモドオオトカゲ)」の生息地として人気がある。政府は同国立公園を構成するコモド島とパダル島に入る際の料金を一律375万ルピア(約3万3700円)に設定した。これまでは平日で地元の観光客が5000ルピア、外国人が15万ルピアだった。
値上げの目的は生態系の保全だ。政府は2020年にコモドドラゴンの密輸の横行でコモド島を一時的に閉鎖したこともある。ジョコ大統領は「自然保護と観光経済のバランスをとらなければならない」と訴える。

地元の観光業界はこれに反発した。新型コロナウイルス禍から立ち直り、外国人の訪問が増えると期待している時期に、料金を最大25倍に増やすことは、観光振興に逆行するとみるからだ。

観光地の保全か振興かに揺れた例は直近にもあった。政府は今年6月、世界遺産の仏教寺院、ボロブドゥール遺跡の入場料について、追加料金の検討を突如表明。この時は、観光業界などの反発を招き撤回した。

今回、コモド国立公園周辺の観光業界はストライキをちらつかせたが、政府が対話の姿勢を示し、見返り策への期待から収束しつつある。

ジョコ政権は観光立国を掲げる一方、コロナ対策で歳出を拡大し、財政赤字を膨らませている。観光地の保全の費用を料金の値上げで訪問客に押しつけるのは苦しい懐事情の裏返しでもある。