【データ】2020 年グローバル都市調査 A.T. カーニー調べ
(観光経済新聞 2020年11月27日)
https://www.kankokeizai.com/【データ】2020-年グローバル都市調査%E3%80%80a-t-カーニー調/

【ポイント】
この報告書は、コロナにより危機に陥った都市について「過去には戻れない」とし、①公共の価値の創造に焦点を当てる ②グローバルな都市の交流を維持・活性化する ③生活環境をより持続可能で、回復力をつける都市計画が必要として、ランク付けを見直したとあります。
世界の都市指標ランキングで、東京は8 年連続4 位となっている。

【 内 要 】
A.T. カーニーの「2020 年グローバル都市調査」によると、世界の都市指標ランキングで、東京は8 年連続4 位となった。
本調査は、都市の現在のパフォーマンスを評価する「グローバル都市指標(Global Cities Index: GCI)」と、将来の有望性を分析する「グローバル都市展望(Global Cities Outlook: GCO)」の2つで構成される。
グローバル都市指標(Global Cities Index: GCI)は、
2008年より始まり、今回で10回目を数える。全世界151の都市を、「ビジネス活動」「人的資源」「情報流通」「文化的経験」「政治的関与」の5つの観点から29の評価基準をもとに総合的にランクづけしたもの。同調査の結果は、都市の国際度、パフォーマンス、発展水準の指標となる。
上位4都市は2017年以降4年連続同じ顔触れであるが、今回5位にランクインした北京は、評価額が10億米ドル以上のユニコーン企業の多さが寄与し、昨年の9位から大きく順位をあげた。
4位の東京は堅調なビジネス活動が評価されているものの、首相の交代がもたらす影響は未知数、と本調査報告書で述べられている。

もうひとつの指標、グローバル都市展望(Global Cities Outlook: GCO)は、
都市の将来的な有望性を評価したもので、今回で6回目を数える。 全世界151の都市を、「個人のウェルビーイング」「経済」「イノベーション」「ガバナンス」の4つの観点にまたがる13の主要な評価基準の変動率をもとに、各都市の将来的有望性を評価している。
首位は、昨年に続きロンドン。今回2位にランクインしたトロントは、イノベーションの拡大と強いガバナンスが寄与し、昨年の11位から大きく順位を上げた。今回4位となった東京は、個人のウェルビーイングが評価され昨年の6位から順位を上げた。
注目すべきは中東のアブダビ(前回20位から今回7位)とドバイ(前回32位から今回18位)で、ともに長期にわたる投資が経済的に多様化・高度化をもたらしていることが評価された。

本調査報告書の共著者でA.T. カーニーパートナー Rudolph Lohmeyer のコメント
「パンデミックの影響は数か月後あるいは数年後にならなければ完全には把握できませんが、すでに世界中の各都市に新たな課題と機会をもたらしています。これまでとは違う現実に向き合い、回復するためには以前とはまったく異なるかもしれない戦略的な選択と投資を行う必要があるのです。」
それぞれの都市は必然的に、地理的要因、人口動態、産業力の変化に適応することが求められるが、特に3つの重要な分野で革新的な発展を推進する必要がある。
Urban value creation(都市の価値創造):不確実な将来において競争力を確保するために、社会のすべてのセクターとセグメントにわたる公益を中心に、公共の価値の創造に焦点を当てる必要がある。
Global city connectedness(グローバルな都市のつながり):グローバルな都市の魅力と影響ある商品、アイデア、人々の国境を越えた交流を維持し、つながりを活性化し、拡大する必要がある。
Transforming urban space(都市空間の変革):パンデミックによって明らかになった物理的空間における多くの課題に対処するために、生活環境をより持続可能で、回復力があり、包括的にする方法で都市計画を再考する必要がある。

本調査報告書の共著者でA.T. カーニーパートナー Antoine Nasr のコメント
「今回のグローバル都市調査は、都市が危機に陥った時の立ち位置を写し取ったものです。現状、すでに大きな変化があり、過去には戻れません。アフターコロナの生活、そして未知の未来に備えるうえで、都市を評価する際の参考となるでしょう。」

※ 本調査報告書全文(英語)はこちらから
https://www.kearney.com/global-cities/2020