【データ】コロナ禍におけるIT利用やセキュリティに関する調査
(観光経済新聞 2020年10月15日)
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【ポイント】
緊急事態宣言のもと、在宅勤務を経験が36.2%で、現在も継続しているが18.7%だという。
オンライン授業を受けたのは、専門学校・短大・大学生は91.6%と高いが、小学生は15.1%、中学生は26.8%、高校生は45.9%に留まる。また4割以上が監視ソフトウェアを使用していないといい、セキュリティに問題があるようだ。
政府はデジタル化を推し進めるが、デジタルの弱い中高年と、デジタルに強い若い世代の確執が生まれる可能性があるという。

【 概 要 】
マカフィー(株)が、コロナ禍での外出自粛期間における在宅勤務状況、子供の学習状況に関して、IT、セキュリティの観点から調査を実施した。

・緊急事態宣言のもと、在宅勤務を経験が36.2%、現在も継続が18.7%
・IT環境を課題とする一方で、環境整備の実施に関連する項目はすべてが低く一桁台
・オンライン授業を受けたのは41.9%。専門学校・短大・大学生だけ見ると91.6%が受講
・オンライン学習の懸念点は「先生や学校による授業の質の差」が最も多く54.8%
・子供のデジタル利用に対し、4割以上が監視ソフトウェアの未使用ないしは未使用と同等の状況

2017年より総務省主導で日本でのテレワーク普及促進に向けた取り組みが進み、修学面においても、文部科学省の「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」により、生徒一人に1台のIT端末普及、小・中・高校・特別支援学校等での高速大容量の通信ネットワーク整備が進められている。
2020年に入り新型コロナウィルス感染症の感染が拡大し、テレワークやオンライン授業の実施が急務となった。

在宅勤務では、全体の36.2%が緊急事態宣言のもと在宅勤務を経験し、18.7%は現在も頻度はさまざまではあるものの在宅勤務を継続している。また、在宅勤務を取り入れている企業に対する印象は「良い(27.5%)」「どちらかというと良い(39.6%)」と肯定的な回答が67.1%だった。

在宅勤務が可能な業種にも関わらず導入しない企業の印象は、18歳から30代の5割以上が「どちらかというと印象が悪い」「印象が悪い」と回答したのに対し、40代以上の半数程度が「特に何も感じない(40代:49.6%、50代:49.1%、60代:50.0%)」と回答し、意識の差が見られた。
IT利用に積極的で新しい働き方へのシフトチェンジにも柔軟な若い世代にとって、在宅勤務を導入しない企業は急速に変化する社会への対応力などの面で、魅力的な就業先と映らない可能性がある結果となった。

在宅勤務・学習時の課題として、「仕事や勉強をするスペースの確保(30.4%)」「オンライン環境の機器類(20.6%)」「仕事や勉強をするためのオンラインの設定(17.3%)」という回答が少なくない。
一方で、「ネットワーク環境や機器を揃えた(5.2%)」「勤務先から必要なツール類や費用が支給された(3.2%)」「在宅環境を整えるにあたり、ITツールに詳しくなった(2.7%)」の割合は非常に低い結果となった。
外出自粛期間中のECサイトでの品薄状況とは異なり、実際に行動を起こした回答者はごく一部のようでで、PCや周辺機器の需要は増えたものの、サプライチェーンの乱れが供給に影響したと考えられる。

オンライン授業を「受けた」は41.9%で、専門学校、短大、大学生(以下、学生)は91.6%が受けたと回答したのに対し、小学生15.1%、中学生26.8%、高校生45.9%に留まり、年齢が下がるにつれオンライン授業の普及が低い状況でした。
オンライン学習時のデバイスは、子供専用のPCを使用している割合が学生は67.3%と高い結果に対し、小学生38.3%、中学生39.3% 、高校生31.3%は、家族のPCを使用したと回答し、スマートフォンを利用したという回答者も見られた。
インターネット利用やオンライン学習について保護者の懸念は、「先生や学校による授業の質の差(50.1%)」が最も高く、次に「ゲームをしていないか(34.8%)」「サイバー犯罪に遭わないか(21.08%)」と回答しました。
政府が生徒一人に1台のIT端末普及を用いた授業を目指す中、ハード・ソフト両面の整備が不可欠になります。

監視用ソフトウェアについては、「ウェブサイトやコンテンツのフィルタリング機能を使用」が30.5%となり、「設定しなくても問題ない(12.2%)」「よく分からないため口頭での注意に留まる(10.8%)」「手間がかかるため、設定していない(10.4%)」「ソフトウェアについて知らない(9.1%)」とあり、監視ソフトウェアの未使用ないしは未使用と同等と思われる状況が40%を超える結果となった。
子供が家庭でIT利用をする際の懸念は明らかな反面、セキュリティ対策が実際は打てていないという実態が浮き彫りとなった。
小学生では、“オンラインサービスやソーシャルメディアを利用していない”との回答が53.7%とあったことも影響している可能性がある。

コロナ禍を機に在宅勤務の導入が進んだにもかかわらず、継続している企業は一部であり、家庭で就業する環境の構築は一時期言われたほど進展していない様子が伺えた。また、子供専用のIT端末の普及率はまだ低く、保護者のセキュリティに対する関心の低さも明らかになった。