しゃぶしゃぶ・すき焼き「鍋ぞう」が年40万人の訪日客をつかむ理由とは
(食品産業新聞ニュース 2019年2月24日)
https://www.ssnp.co.jp/news/foodservice/2019/02/2019-0221-1436-14.html

トリップアドバイザーの「外国人に人気の日本のレストラン」で全国2位、「鍋ぞう」の紹介記事だ。
外国人従業員の採用や多言語ツールなど、耳にする話も多いが、4年前から徹底した事業展開をされている。
特に「しゃぶしゃぶ・すき焼きを、自分で作って楽しむ」、”コト消費”とされた視点が素晴らしい。

【ポイント】
しゃぶしゃぶ・すき焼き食べ放題「鍋ぞう」は、訪日外国人客への対応を他社に先駆け、積極的に推進した。「しゃぶしゃぶ・やすき焼きを、自分で作って楽しむ」、コト消費の業態が個人客の需要をつかみ、中国の団体客が去った爆買い以降も安定した人気を誇っている。
インバウンド集客数が前年比3割増を見込むのは新宿東口店で、外国人スタッフを積極的に採用することで言葉の壁を無くし、おもてなしを強化したことが大幅な増加につながった。

「鍋ぞう」(19店舗)と姉妹ブランドの「モーモーパラダイス」(3店舗)では、約4年前から、ハードとソフトの両面で訪日外国人客の受け入れ体制を整えてきた。
ハード面では、メニューブックや販促物、WEBサイト、店頭設置の「しゃぶしゃぶの食べ方」の紹介動画などを多言語化、フリーWiFiを設置し、外国人が利用しやすい環境を整備した。昨年11月からは、最も多い中国人客に向けQRコード決済(Ali Pay、We Chat Pay)を導入、他社ツールで予約決済ができる仕組みも整えた。
ソフト面では、多国籍のスタッフを採用し母国語でのサービスを実施。多言語の接客用語をポケットメモ化して接客ロールプレイングに取り入れ、日本のおもてなしを感じて貰える対応を図った。

中国語や韓国語など4カ国に対応できるスタッフを常時揃え、各テーブルに専用スタッフを配置し、メニュー内容から食べ方まで説明する丁寧な接客を心がけている。近年は団体客が減少し、個人旅行客が増えており、言語対応の重要性は増している。
全スタッフの4割を占める外国人スタッフが、おもてなしの部分を大きく支えている。

昨年、「トリップアドバイザー」の「外国人に人気の日本のレストラン」で全国2位を獲得した。
「自分で作って楽しむ」というコト消費が人気の理由。来店客が「トリップアドバイザー」に投稿しやすいよう鍋のパネルを用意し写真撮影に協力。投稿コメントに積極的に返信し、口コミ強化の取り組みが高評価につながった。
姉妹ブランド「モーモーパラダイス」は台湾やタイ、中国など海外に約50店舗展開しており、いずれも連日行列ができる人気店だ。現地の味が食べられるとあって、予約して来店するお客様も多い。メニューは国産牛・豚を使った税抜き4800円のコースが一番人気で、富裕層の来店が年々増加している。

今年度は、当社全体で前年比14%増の約40万人のインバウンド客の来店を見込む。
課題は、外国語が話せるスタッフの不足だ。外国人スタッフを積極的に採用し、社員はアジア圏での現地採用も行っている。人手不足を補うツールの拡充も進めており、ラグビーW杯、オリンピック・パラリンピックの開催を控える中、受け入れ体制をより盤石なものにしていきたいという。