ニューヨーク市、レストラン利用等にワクチン証明が必須に。世界の潮流は?
(MATCHA週刊インバウンドニュースマガジン 8月2週号 2021年8月10日)

【ホッシーのつぶやき】
ニューヨーク市は、8月16日の週にも「屋内のレストランや運動・娯楽施設に入る際にワクチン接種証明書の提示を義務付ける」といいます。フランスも7月26日にワクチンパスポートの提示義務が可決するなど、接種証明の義務化が潮流になりつつあります。
「経済回復に必要な措置」が大きい理由ですが、「ワクチン接種率の向上」も理由にあるようです。日本では「ワクチン接種に反対」している人もいるのには驚きます。
「ワクチン接種」以外にコロナを乗り切る手法がない以上、早く接種が進んで欲しいものです。

【 内 容 】
日本で同様の方針は実施可能でしょうか?

アメリカ・ニューヨーク市では、飲食などの屋内活動を行う際にワクチン接種証明書の提示を義務つけることを発表しました。
正式には8月16日の週に規制を発表し、発表日から施行する予定。全米で初の試みとなる。
屋内のレストランや運動・娯楽施設に入る際、利用客か従業員かを問わず、最低1回のワクチン接種を行ったことを証明するよう求める。
当面を移行期間とし、本格的な取り締まりは学校再開と企業の出社制限を解禁する9月13日から行う。
デブラシオ市長は「全員の賛同が得られないことは理解している」と述べる一方、ワクチン接種率の向上や経済回復に必要な措置と説明した。ニューヨーク市では、最低1度の接種を行った市民の割合は約6割、成人では71.8%に上る。なお、デブラシオ市長は詳細は検討中としつつも、今後2~3カ月以内に5~11歳が接種資格を得るとの想定の下、12歳未満も対象に含める考えも示した。
ニューヨーク市は7月26日に、市の全職員に対するワクチン接種証明(未接種者には検査)を義務付けた(2021年7月28日記事参照)。8月2日には、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が州の都市交通局(MTA)や港湾の職員、医療従事者に同様の義務を課すとともに、民間事業者にも利用客に入店時に接種証明を求めるよう呼び掛けている。

参考ニュース:米ニューヨーク市、屋内活動に新型コロナワクチン接種証明求める方針、全米初 (JETRO)

他国に比べ接種が進んでいるイメージのアメリカですが、実は接種率が59%を超えたあたりから、接種スピードが穏やかになっています(上図)。
そのような現状を踏まえた危機感から、このような施策決定に至ったのでしょう。
実際、アメリカ企業の間では、社員のワクチン接種を義務化する動きが進んでいます。
背景にはデルタ株の感染拡大があります。また、オフィスへの出社を再開させたい企業の場合、接種を義務化することでオフィス勤務の安全したいとも考えているようです。

日本の場合、国家によるワクチン接種の強制はもちろん、企業によるワクチン接種の義務化もなかなか難しそうです。
反対に、ワクチンの非接種強制も認められません。7月21日の記者会見で、加藤官房長官は「接種するよう、または、接種しないよう強制すること、接種の有無により不当な差別的扱いを行うことは適切ではない」と述べています。

個別事例への言及は避けられましたが、こちらはタマホームに関する各種報道を念頭においているようです。
参考ニュース:「接種したら無期限の自宅待機」タマホーム社長が社員に“ワクチン禁止令” (週刊文春)

フランスなどヨーロッパでも飲食店利用について、ワクチン証明書の提示が義務付けられる動きが拡大しています。
参考ニュース:フランス 「ワクチンパス」提示義務化の法案が可決 (TV ASAHI)
参考ニュース:フランス ワクチン接種証明の提示義務化に反対 大規模デモ(NHK)
ただし、市民からの反発は強く、大規模なデモが発生しています。日本で同じような規制を敷けば、規模や形式の差こそあれ、同様の反発が起きるのではないでしょうか?
日本では海外のような強制性のある施策実施は難しいでしょう。強制まで行かない、ワクチン接種者への優遇措置であっても、差別性の観点から批判は多く集まりそうです。

日本国内だけではのことを考えれば、それでも問題ないかもしれません。しかしインバウンド業界は顧客が海外におり、競合も世界中の国々になります。
今後「コロナを抑え込めている国」が国際観光の復活需要の多くを獲得すると推察しています。その中で、世界の基準とずれた考え・施策を実施していれば、少なくともインバウンド業界の復活はさらに遅れることになるでしょう。