大前研一ニュースの視点
ライドシェア大手 ウーバージャパンと第一交通産業 タクシー配車で提携
(2019年3月15日)

ライドシェアが世界的に進行している。
ライドシェアを利便性だけで論じてはいけないが、タクシー会社の保護の視点だけで論じてもいけない。
配車と決済についてはライドシェが流通と決済で革命を起こしており、日本でタクシー会社が導入するのは自然の流れだ。
自動運転技術が急速に進化している。米カリフォルニア州における昨年のグーグルの公道試験の走行距離は、地球50周分に相当する約202万kmだったといい、自動運転は「走って実績を作った人が勝つ」と言われている。
ライドシェア、自動運転ともに次の時代を切り開くテクノロジーに育つ。日本も積極的に拘る必要がある。

【ポイント】
タクシー大手の第一交通産業とウーバー・ジャパンは4日、タクシーの配車サービスで提携したと発表しました。

国内の配車アプリを巡っては、日本交通系のジャパンタクシーが先行していますが、ウーバーは第一交通との提携でサービスの提供地域を拡大し、日本での影響力を高める考えです。

第一交通のタクシーは、QRコードやSuica決済に対応し利便性が高い。(地域によっては利用不可)

ウーバーは日本進出で苦戦しています。
日本の法律ではウーバーの運転手になるには、第2種免許が必要です。
ゆえに第1種・第2種免許を持たないと、日本では白タク扱いを受けますが、世界的に見れば、「空いている人」が運転してくれるというだけで特に大きな問題とならない国もあります。

こうした規制があるために広がらない、日本におけるライドシェアの問題も、第一交通のような企業が介在すると、少しは前進する可能性があるので、期待したいところです。
ユニコーン企業の時価総額ランキングを見ても、ライドシェア企業の躍進が目立ちます。

滴滴出行が3位、楽天が投資している米リフトも上位に食い込んでいます。
ライドシェアと自動車メーカーの時価総額を見ても、ライドシェア市場の将来性を感じます。
現在の時価総額ではトヨタが断トツですが、米自動車メーカービッグ3(GM、フォード、クライスラー)の時価総額合計と、ウーバーとリフト2社の時価総額に類する推計企業価値が接近してきています。
ライドシェア市場が大きく成長していこうとしている傾向は、自動車メーカーが多い日本にとっては、脅威以外の何者でもありません。

オーストラリアのライドシェアサービスで、ほとんど日本製自動車を使っていないように見受けられます。
値段が半額で性能にそれほど大きな差がないため、韓国製や中国製の自動車のほうが選ばれている。
実際、お客さんもライドシェアを使うときに自動車のブランドを気にする人は少ないでしょう。
私がよく見かけるオーストラリアで走っているウーバー車の多くは、韓国のヒュンダイ製です。

これからのMaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)の時代、日本車は相当苦労することになると思います。
今後、車を作るメーカーはトラブルを抱える立場として、一層厳しい状況を迎えることになるでしょう。