注文殺到のラグビーW杯チケット、争奪戦の裏側
(東洋経済オンライン 2019/02/07)
https://toyokeizai.net/articles/-/263680

9月20日からのラグビーワールドカップ販売チケット180万枚に対し、120万枚近くがすでに売れている。
昨年10月の国内の認知度は68.3%といい、チケット販売に不安を持っていた方も一安心だろう。
チケット販売が好調なのは、海外ファンの注文が多いといい、40万人以上のラグビーファンが日本を訪れると予想されている。

【ポイント】
9月20日から開幕するラグビーワールドカップの販売チケット、180万枚の販売予定に対し、すでに120万枚近くが売れていると1月に都内で開催されたイベントで話した。

チケット販売スタートは2018年1月。一般向けの抽選販売のほか、ファンや大会開催スタジアムが置かれた地域の住民などを対象に先行販売を行った。総申し込み件数は500万枚程度に達している。

今年1月19日から始まった公式サイトでの第二次一般向けチケット先着販売では引き合いが殺到。
申込期間は3月31日までの2カ月弱だが、日本戦4試合や決勝戦などが在庫切れになった。
前回2015年のイングランド大会では247万枚のチケットが売れた。
開催8カ月前時点での販売予定分に対する販売実績は前回大会を上回っている。

組織委員会が昨年10月に発表した国内におけるラグビーワールドカップの認知度は68.3%。
チケット販売が好調なのは海外ファンの注文が多いことも一因とみられる。

日本戦4試合のほか、ニュージーランド、イングランドの試合に対する人気が高く、イングランド戦にはイギリスのファンからの注文が多い。
前回大会では海外からの観客が40万人を超えており、世界のラグビー協会を統括する団体「ワールドラグビー」は今大会でも海外から40万人以上のラグビーファンが日本を訪れると予想している。

海外メディアも日本大会でのチケット人気に注目する。
ラグビーW杯は今回で9回目だが、欧州や南半球の国以外で開催されるのはこれが初めて。
フランスは世界のラグビー強豪国の一角。次回2023年大会の開催国ということもあって関心が高い。「ル・フィガロ」の電子版は「フランス代表が決勝まで進めば、日本の5都市を転戦するという夢を見ることができる」などとして、決勝戦が行われる横浜をはじめ、東京、福岡、大分、熊本各都市の見どころなどをまとめた記事を掲載した。

今大会のチケット販売の仕組みはやや複雑だ。
180万枚のチケットがすべて完売していないにもかかわらず、一般向けの抽選販売で落選者が相次いでいるなど分かり難いという。
チケット販売は、組織委員会と、W杯の運営管理を行う「ラグビーワールドカップリミテッド(RWCL)」の2つの組織に割り当てられている。前者が個人向け(国内・海外問わず)、後者が各国のラグビー協会やスポンサーなど団体向け販売を手がける。
発売開始前の段階で2つの組織への割り当てが約90万枚ずつ。販売予定が180万枚でも、一般向けの抽選販売で落選者が出るのはこのためだ。
組織委員会側の取り扱うチケットの在庫がなくなると、RWCLの販売在庫から充当されるのが一般的だという。前回のイングランド大会でも247万枚のうち、初期割り当てが50:50であってもRWCLが販売したのは全体の約15%程度だった。

旅行代理店の扱うチケットを含めた旅行商品や、食事などを組み合わせたホスピタリティープログラムと呼ばれる高額のパッケージ購入を通じてチケットを入手するという選択肢もある。
組織委員会は「諦めずにトライしてほしい」などと呼び掛けている。