開催日:2019年12月17日、 開催場所:大阪府立中之島図書館

シンポジウム開催の趣旨:2025年の大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」とされるものの、「何が開催されるのか」について、具体的なイメージが湧いてこないとの声が未だ多いことを踏まえて、既に具体的な提案を始めておられる皆さんに、自由に分かり易く、意見交換して戴くことを趣旨として開催致しました。

基調講演:万博協会の審議役の堤 成光氏から、万博の誘致から、テーマやコンセプトの解説、そして万博には、世界から1日平均15万人もが訪れる壮大な「実験のまち」、 企業の皆さんにとっても“協働の場”として活用できる場だとの、基調講演をいただきました。

問題提起:1970年の大阪万博 日本政府館渉外広報部の儀典官を体験されており、モデレータを務めるNPO法人スマート観光推進機構 理事の佐竹真一氏から、2025年万博に向けて「誰に来て欲しいのか?」を明らかにすべきであり、「未来からのお客様」でもある若い世代にこそ来て貰いたい、また2025年のさらに50年後の21世紀後半に向けて、どの様に資産を残していくのかを見越すべきである、との問題提起がありました。

ご登壇の皆さんの発言要旨:

大阪大学の森下竜一教授から、万博会場は「スーパーシティ」を実現するのに最適の場所だとして、「スーパーシティ」とは、今、何もない所に、仮想空間と現実空間を融合させたシステムで“まちづくり”を行い、経済発展と社会的課題を解決させる構想だとの説明がありました。

そして年間1300万人の大阪に来られる外国人の、行動データや生体情報をビッグデータとして取り扱えば、世界中のどこにもないデータを蓄積することができるとの提案がありました。

10歳若返るプロジェクト実行委員会の事務局長の高島正広氏から、「10歳若返るプロジェクト」について解説があり、アンチエイジング(抗加齢医学)の実験場を築きたい。アンチエイジングとは、運動、食事、メンタル、環境などメンタル面と、「老化は病気」として治療することにより、病気にかからず、元気で長寿を実現することだとの提案がありました。

(株)サイエンスの青山恭明会長から、『泡の力で世界を変える』として、ファインバブルへの取り組みの紹介があり、70年万博で出展された人間洗濯機がファインバブルで実現していると実演がありました。

アトピーの方のお風呂でも、毛穴の中まで掃除しないといけない。そのため毛穴より10分の1以上小さい気泡で、毛穴の奥底の汚れを取り除くことができるとの解説がありました。

タイムイノベーション(株)佐和田悠葵氏から、ブロックチェーンは改ざんが生じない情報であり、ブロックチェーン技術を用いて、決済、本人確認、滞在情報、体温、心拍などのセンサー情報などをビッグデータとして1つにまとめることが重要だとの提案を受けました。世界で銀行口座の保有は17億人超ですが、地域によっては4人に3人は口座を持っていないことの紹介もありました。

大阪大学の武田朱公准教授から、『脳の健康を10歳若返らせる』として、認知症は“早期発見”と“早期予防”が鍵で、認知症検査の問診を視線の動きを解析して解析するシステムに取り組んでいるとの紹介がありました。

最近の医学研究から、高血圧、糖尿病、肥満、運動不足などに注意するだけで約35%の認知症が予防できる。認知症の早期発見により、元気で長生きできる時代を作ってまいりたいとの提案でした。

パネルディスカッションの概要:

10年後、70歳以上の老人が最も多い街ができあがる。そうなれば、お金を使う人よりお金を使わない人が増えるので、どうやってお金を稼ぐかを考えないとならない。一番大きな問題は、経済をどうするかだと話が進みました。

質疑応答も活発に行われ、4名の方から「オーバーツーリズムの社会費用の問題」、「ビットコインとバーチャル通貨の違い」、「富裕層と貧困層の問題」、「中心部と地方の問題」、等々のご質問があり、それぞれに、パネラーから分かりやすい回答をいただけました。

付記:

参集の呼びかけは、NPO法人スマート観光推進機構を中心に行いましたが、参加者の多くの方から、「素晴らしいシンポジウムだった」とのお言葉をたくさん頂戴しました。多くの方の気持ちは、未だ、「70年万博の時のようなワクワクした気持ちになれない」ではないでしょうか。しかし、このシンポジウムで聞くことの出来た具体的なお話だけでもワクワクできます。今、阪大を中心に若い研究者がいろいろな提案をされています。我々も、若い世代のために夢を作らないといけないとシンポジウムを締めくくることができました。

シンポジウムの詳細につきましては、別途、講演録を作成致しましたのでご覧戴ければ幸いです。

https://smrtkanko.com/wp-admin/post.php?post=3657&action=edit

<文責:NPO法人スマート観光推進機構 理事長 星乃 勝>

作成日:2020年1月15日