空港でのコロナ検査は浸透するか? 海外旅行の需要喚起を後押しする方策を考える【外電】
(トラベルボイス 2020年8月27日)
https://www.travelvoice.jp/20200827-146936

【ポイント】
世界の主要空港の一部で、海外からの到着客への、新型コロナウイルス検査が始まっている。
欧米の航空各社は、「海外旅行者向けの検査プログラムを統一化して実施するべき」と要望しているが、現状は、任意の場合や義務化しているケースなど様々だ。
コロナ検査も世界各地で標準化されれば、パンデミックが続く中でも、海外への移動が自由になる可能性がある。しかし標準化への道は険しそうだ。

【 概 要 】
世界の主要空港の一部で、海外からの到着客を対象に、新型コロナウイルス検査が始まっている。
任意の場合や義務化しているケースなど様々だ。
欧米の航空各社は、海外旅行者向けの検査プログラムを統一化して実施するべきと要望している。
現行の自己隔離や入国制限が大西洋間の航空需要の回復を妨げているため、代替策が必要だとの考えだ。

空港でのコロナ検査がもっとも普及しているのはドイツ。米国を含む高リスク地域からやってきた旅行者は、ドイツ到着後、72時間以内の検査が必須となっている。検査は空港で受けられ、費用は無料。
現在、ベルリンのテーゲル空港とシェーネフェルト空港、ミュンヘン空港、フランクフルト空港、デュッセルドルフ空港などで実施されている。
フランクフルト空港の場合、検査ステーションは2か所あり、いずれも1日18時間オープンしている。
ルフトハンザ航空は、2020年6月末からミュンヘン空港とフランクフルト空港で、国際線到着便の利用客を対象に検査をスタート、結果は4~5時間で分かる。陰性であれば、2週間の自己隔離は免除、即、自由行動となる。

東京の羽田空港と成田空港の検査では、抗原検査の結果が出るまでの時間は1時間。
羽田空港では、1日当たりの検査可能数を3800人まで増やす予定という。

トルコのイスタンブール空港でも7月初めからコロナ検査が始まり、料金は16ドル。1日当たりの対応能力は約4万人。結果は2時間以内に判明する。
香港空港では、到着便旅客が検査所までの移動に利用できるシャトルバスが運行している。

こうした取り組みが世界各地の国境で標準化されれば、パンデミックが続く中でも、海外への自由な移動が可能になるかもしれない。

アメリカン航空、ユナイテッド航空、ルフトハンザ航空グループ、インターナショナル航空グループ(ブリティッシュ航空の親会社)のCEOたちは2020年7月、マイク・ペンス米副大統領とEU(欧州委員会)のイルヴァ・ヨハンソン内務担当委員宛ての共同書簡にサインし、欧米で統一化されたコロナ検査プログラムを策定することを要望。これにより大西洋路線の航空需要が活性化できると訴えた。

目下、米国ではEUおよび英国からの旅行者の入国を禁止しており、EUも米国からの旅行者に対して同様の措置をとっている。英国では、旅行者に14日間の自己隔離を義務付けている。

米ユタ、ネブラスカ、アイオワの3州でコロナ検査を受託している企業は、世界各国が検査プログラムを統一できれば、旅行制限の緩和につながる。
検査を統一するためには、世界各地の政府当局が同じプトロコルを採用する必要があると指摘する。
旅行者が手続きを開始するにあたり、登録情報のウェブサイトは統一されたほうがよい。検査に使用するテクノロジーの標準化や、所要時間を一定枠内に収めることも必要で、可能だとは思うが、かなりの覚悟が必要になると言う。

空港で到着時にコロナ検査を受けられるようになれば、大きな前進だが、出発前に検査できるとさらに良いと話す。例えば、空港施設の内外に検査所を設け、旅客は出発までの24時間以内に予約を義務付けるなどを想定している。このやり方なら、出発までに検査結果が分かる。
さらに検査結果を搭乗券にコード化して搭載することも一案だとつけ加えた。

※この記事は、米旅行業界誌ニュースメディア「トラベルウィークリー(TravelWeekly)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
※コロナ検査の受託企業、ノミヘルス社の共同創業者、ジョシュ・ウォルカー氏へのインタビュー。