「日本人化」する中国人観光客
団体集中型から個人分散型へ変わるインパクト
(日経ビジネスオンライン 3月3日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20150226/278021/

【ポイント】
・訪日中国人観光客は、2013年9月から今年1月まで17カ月連続で前年同月比を上回っている。

・2013年10月に中国で「旅游法」が施行された。
 それまで中国の団体ツアーは、連れて行った店から受け取るコミッションが旅行会社の大きな収入源だった。その分ツアー料金を下げ、低価格を売りに集客していたのだが、旅遊法でコミッションを禁止したのです。
・旅遊法が日本に有利に働いた。
タイや中国国内向けなど、コミッションが多く設定されていたツアーの価格が跳ね上がり、日本ツアーはコミッション比率が高くなかったので、上がり幅が小さく、旅行会社が日本への送客に積極的になった。

・日中間の政治問題は、2013年は何も起きなかったことで、代理店も日本は大丈夫という判断を下したようだ。
・国家間の関係が厳しかった時、在中国大使館や領事館の個人ビザ審査が厳しかった。
 中国では日本行きの観光ビザは旅行会社が申請を代行しており、ビザ申請が通らないとクレームにつながるので、旅行会社も日本旅行をPRしにくかった。

・訪日中国人の観光スタイルが変わってきた。「ゴールデンルート」一辺倒ではなく、東京や大阪など1つの都市を起点に滞在する形態が増えている。
・日本アニメへの関心が高く、「三鷹の森ジブリ美術館」や「ワンピース」を題材としたクルーズ船やロケ地など、ピンポイントで「ここに行きたい」という需要が出ている。
・観光客の個人化により「日本人が良く行く店」を調べ、行くようになった。

・個人旅行客が情報を集める有力なルートの1つが、中国現地の旅行会社です。
・影響力が強いメッセージアプリが「Wechat(ウィチャット)」。中国だけで約7億のIDが存在します。
これまではソーシャルメディアの「Weibo(ウェイボ)」が主流でしたが、規模が大きくなりマスメディア化したことで、以前ほど信用されなくなっています。
・割引クーポンは従来のようにフリーペーパーではなく、「Wechat」のように個人に情報提供できるメディアが効果的。
・絶対にやってはいけないのは、自動翻訳を使って中国語ページを作成すること。

・日本の接客に「冷たさを感じる」という声がある。言葉が通じないので接客が遠慮がちになっているようだ。
 日本語でいいから、積極的に声をかけたほうが喜ばれる。その上で色などを指さし確認できるツールがあればいい。

・中国人観光客のうちリピーターの割合はまだ少ないが、これから増えるのは確実。
 中国からの訪日客数2014年は約241万人だった。2015年にそれが300万人、2020年には700万人になると予測している。