京都でゲストハウスなど簡易宿所の廃業急増 半年で98施設、価格競争激化(京都新聞 2020年1月16日)https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/67401

京都市も宿泊施設の開業が相次ぎ、供給過剰になるとともに、宿泊料金の値下げが横行している。冬場のオフシーズンは1泊千円まで下げる施設もあるという。簡易宿所の廃業は、2016年度は16件だったが、17年度73件、18年度147件、19年度は半年間で98施設が廃業と急増している。廃業理由は、供給過剰の背景とともに、来年4月の京都市条例で始まる「駆け付け要件」があげられている。

【ポイント】京都市内でゲストハウスなど簡易宿所の廃業が、過去最多だった昨年度を上回るペースで急増している。本年度は速報値ベースで9月末までの半年間で98施設が廃業。供給過剰感のある簡易宿所では値下げ競争の激化に加え、来年4月から全面適用される市の独自規制「駆け付け要件」も背景にあるとみられる。

簡易宿所の廃業は、2016年度は16件だったが、17年度73件、18年度147件と、近年は前年度の倍以上のペースで急増している。本年度もこのまま増えれば、過去最多を更新する公算が大きい。簡易宿所を運営する事業者が入れ替わっているケースが多い(医療衛生推進室)とみる。新規許可件数は16、17、18年度はいずれも800件台で推移していたものの、本年度は半年間で305件と減速している。

廃業の背景にあるのは、18年6月の京都市の改正旅館業適正化条例で、来年4月からの完全実施を決めた「駆け付け要件」の存在だ。玄関帳場のある宿泊施設では、客の宿泊中は管理者の駐在を定め、施設外に玄関帳場を置くことができる小規模宿泊施設なら、10分以内で駆け付けられるよう800メートル以内の場所に管理者を配置するよう義務付けた。既存施設は来年3月末まで適用を猶予している。

京都簡易宿所連盟によると、価格競争が激化している簡易宿所の中には、冬場のオフシーズンの宿泊料を1泊千円以下まで下げている施設もあるという。「ただでさえ利幅が減っている個人事業の施設では、駆け付け要件の適用による管理者の人件費負担に耐えられず、廃業する施設がさらに増えるのではないか」という。