免税店支援を通じた京都のインバウンド消費拡大策~免税店数9倍増、免税売上額は220億円超に~(京都観光MICE  NEWSレター 2020年1月14日)https://www.kyokanko.or.jp/report/20200114_1/https://www.kyokanko.or.jp/report/20200114_2/

本年4月に免税手続きの電子化が始まります。1年半の移行期間はありますが、助成もあると思われますので早めに対応を検討された方が良さそうです。免税手続きは、現在、購入物品が記録された紙伝票をパスポートに貼付なければなりませんが、電子化により簡素化されるようです。

Part1
・そもそも免税店とは? ~外国人が国外持出のために1店舗で1日5,000円以上購入すれば消費税が免税に~・京都ならではのきめ細かな免税店支援サービス
Part2
・京都市内の免税店数は5年間で9倍増
・免税売上は年間220億円に ~中小免税店も売り上げ増~
・新たな転機、免税手続の電子化とは?
・メイドイン京都の伝統産業品を今後も外国人観光客に ~免税店支援を通じた持続可能な観光振興~ 

【Part1 ポイント】日本における免税店とは、外国人観光客等に対して特定の物品を一定の方法で販売する場合に、消費税を免除して販売できる店舗のことを指します。
ちなみに、空港の免税店「Duty Free Shop」は、消費税に加え酒税及び関税も免除になりますが、空港内の保税地域での引渡しとなるなど形態が異なります。

免税店になるには、店舗ごとに税務署の許可が必要です。日本の免税制度は、外国人観光客の消費拡大を目的に、その対象が順次拡大されてきました。2016年度に「一般物品」の購入限度額が5000円以上に引き下げられ、2017年度には「一般物品」と「消耗品」の合算購入が可能となり、1店舗につき1日で1人5,000円以上購入すれば消費税が免税されるという制度になっています。

日本国外での消費を前提に消費税が免税される仕組みなので、対象は輸出可能な物品に限られます。よって、飲食店での食事やテーマパーク入場料といったものは免税対象とはなりません。また、薬や化粧品などの「消耗品」は、国内で消費されないよう、免税店での購入時に透明の袋等でラッピングされます。免税手続にはパスポートの原本が必要で、購入した物品が記録された紙伝票を購入者のパスポートに貼付することとなっています。

観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(2019年7月~9月期)によると、外国人観光客の56.1%が免税制度を利用しており、特に、中国78.6%、台湾78.0%、香港70.9%と、アジアからの観光客の免税利用が多くなっています。昨年10月に消費税が10%に増税され、免税メリットは更に大きくなっているため利用が拡大しています。

【Part2 ポイント】京都市内の免税店数は、2019年4月1日現在1,624店と、5年間で9.1倍に増加しました。2015~2017年度にかけ、免税店を紹介する多言語パンフレット「KYOTO Tax-free Shopping Book」を発行。現在は京都観光公式ウェブサイト「Kyoto City Official Travel Guide」で免税店情報を発信しています。中国の検索エンジン「百度」における店舗情報登録Googleの店舗情報表示サービス「Googleマイビジネス」の登録Visaとの連携事業では、2015年度は市内免税店を対象に、購入額に応じたウェブ抽選キャンペーンを実施、2016~2018年度は嵯峨・嵐山地域において同じく購入額に応じた抽選イベントを行いました。

京都市内免税店の年間免税売上額は、2015年調査で約100億円(127店舗計)だったものが、2018年調査では220億円(120店舗計)と、3年間で2.2倍の伸びを示しています。中小店舗の1店舗あたりの免税売上額が2.7倍増と、伝統産業品や土産品、京菓子などの小売店の、外国人観光客の消費が浸透していることがいえます。外国人観光客一人あたりの買物消費額も、2016年に9,568円であったものが、2018年には16,628円と73.8%伸びています。

本年4月にスタートする免税手続きの電子化により、現在、購入物品が記録された紙伝票をパスポートに貼付なければならないですが、購入者による税関への提出漏れ防止のため電子化されます。1年半の移行期間は、今まで通りの手続き(購入記録票を発行しパスポートに貼付)も可能ですが、2021年10月1日からは、完全電子化となります。電子化により、物品名や個数、金額などの購入記録情報と購入者氏名、国籍、パスポート番号を記録し、インターネットで、免税手続ごとに国税庁に提出され、免税手続の効率化のメリットはありますが、店舗側はシステム導入が発生します。京都市観光協会では、2018年度に電子化のインバウンド助成金交付制度(経費の2分の1を助成。上限20万円)を設けております。