習政権が冷や水浴びせる 中国「独身の日」セール
(産経新聞 2022年11月11日)
https://www.sankei.com/article/20221111-HF62SUJDKBNIXEYKZ6ERXKUMMU/

【ホッシーのつぶやき】
中国の「独身の日」(11月11日)、毎年、派手な宣伝と驚異的な売上高を競っていたが、今年のインターネット通販各社による値引きセールが下火となった。
習国家主席は10月の共産党大会で「社会全体での勤勉、節約精神の発揚」と訴え、ネット通販各社は手練手管のマーケティングをやめたという。厳格な新型コロナ対策もセールに影を落としているようだ。

【 内 容 】

「独身の日」に合わせて行われるインターネット通販セールをアピールする看板

中国で「独身の日」と呼ばれている11日、インターネット通販各社による毎年恒例の値引きセールが最終日を迎えた。中国の消費動向を占うイベントになっているが、習近平政権が進める大手ネット企業に対する統制強化に加え、「ゼロコロナ」政策に基づく厳格な感染対策が冷や水を浴びせているもようだ。

中国では独身を意味する数字の「1」が4つ並ぶ11月11日を「独身の日」と呼び、2009年にネット通販最大手のアリババ集団がセールを開始。当初は「独身者が自分にプレゼントを贈る」という位置づけだったが、競合他社も追随して国民的な消費イベントになった。従来は1日限りのセールだったが、最近は期間を拡大して開催している。

中国紙の第一財経日報(電子版)は10日、今年のセールについて「ネット通販各社は手練手管のマーケティングをやめた」と指摘した。例年は11月11日に合わせて目立つ販促イベントを展開して消費者の購買意欲をかき立ててきたが、今年はこうした取り組みが行われなかったという。セールを主導するアリババは、これまで出していた最終的な累計取引額を公表しないとみられている。

習政権は、社会への影響力が大きくなった国内IT大手を警戒し、アリババに巨額の罰金を科すなど統制を強めており、ネット通販各社は政権を刺激しないようセールに関する宣伝を抑制しているもようだ。習国家主席は10月の共産党大会で「社会全体での勤勉、節約精神の発揚」を訴えており、香港メディアはこうした方針が業界側に影響を与えたという見方を示す。

厳格な新型コロナウイルス対策もセールに影を落としている。現在、中国各地で感染が拡大して移動制限が強化されているために物流網が混乱。庶民は、感染対策の長期化で雇用、所得環境の悪化に直面し、消費意欲を減退させている。消費者からは「以前と比べると値下げも限定的で、独身の日セールに合わせて一気に物を買おうというムードが薄れた」(北京の40代の会社員女性)といった声も出ている。