外国人患者の医療費未払いは9400万円、旅行保険に未加入の訪日外国人は3割。保険の認知度向上も課題
(やまとごころ 2019.04.16)
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日本滞在中に怪我や病気になった外国人は5%。約3割が医療機関に行く必要を感じたと答えている。
旅行保険に加入していた人は73%。旅行保険を購入した人が48%、クレジットカード等についた保険が23%だという。
外国人患者の受入れ実績のある1965病院のうち、372病院(18.9%)で未収金を経験しており、平均42.3万円。
訪日外国人が怪我や病気になった際、旅行業者や宿泊施設の対応では、外国人対応する医療機関、通訳、また加入保険で対応できる医療機関が分からないという。
日本人の海外旅行保険加入率も7割強だといい、全世界的な見直しが必要なようだ。

【ポイント】
日本滞在中に怪我や病気になった外国人は5%。約6割は「風邪、熱」で、約3割が医療機関に行く必要を感じたと答えている。
医療機関で医療サービスを受けた人で、不満を感じた人はいなかった。
医療費をカバーする旅行保険に加入していた人は73%で、何らかの形で旅行保険に入っていた。
3割は未加入ということで、前年とほとんど変わらなかった。

旅行代理店や保険会社のウェブサイト、旅行保険比較サイト等で旅行保険を購入した人が48%、東南アジアでは61%を占めた。また、クレジットカードや航空券、旅行パッケージ等の保険の人が23%、両方に加入している人が2%となった。
日本人の海外旅行保険加入率でも7割強だった。
旅行代理店での購入が全体では(16%)、東アジア(17%)、東南アジア(21%)で高く、欧米豪では「クレジットカードに付帯」と回答した割合が21%で最も高かった。
旅行保険に加入しなかった理由として最も多かったのは「加入する必要がないから」(36%)、「加入する意識がなかった」(23%)、「旅行保険があると知らなかった」(21%)と続いた。
旅行保険未加入者に「医療費が高額となった場合の支払方法」を尋ねると、「医療費が20万円程度」の場合は63%がクレジットカードで支払うと回答。帰国後も支払方法がないとの回答が5%あった。

日本入国後にも加入できるインバウンド旅行保険の告知を見た人は1割に満たず、東京海上日動と損保ジャパン日本興亜が販売しているインバウンド旅行保険の加入割合は2%程度だった。
「保険の存在を知っていれば加入したか」という質問に、東アジアで36%、東南アジアでは50%が加入したと思うと回答。出発前に知っていたら加入したと思うが全体の8割近くいた。

厚生労働省の「医療機関における外国人患者の受入に関わる実態調査の結果」によると、2018年10月1日〜31日に外国人患者の受入れ実績のある1965病院のうち、372病院(18.9%)で外国人患者による未収金を経験していた。病院あたりの未収金の発生件数は平均8.5件、総額は平均42.3万円となる。
未収金件数は3156件で、そのうち在留外国人が2430件(77%)、訪日外国人旅行者が726件(23%)、医療渡航が20件(1%)。また、未収金総額では在留外国人が5569万円(59%)、訪日外国人旅行者が3609万円(38%)、医療渡航が213万円(2%)で、総額は約9400万円にもなっている。
患者一人当たりにすると、在留外国人で2万2917円、訪日外国人旅行者だと4万9709円、医療渡航が10万6624円となる。

訪日外国人旅行者が怪我や病気になった際の旅行業者対応は、外国人対応ができる医療機関がわからない(48%)、会話対応・通訳が十分できない(47%)、外国人から「自分の医療保険契約で使いやすい医療機関はどこか?」と聞かれてもわからない(42%)が上位を占めた。
宿泊施設の回答では、会話対応・通訳が十分できない(73%)、外国人から「自分の医療保険契約で使いやすい医療機関はどこか?」と聞かれてもわからない(51%)、外国人対応ができる医療機関がわからない(46%)だった。

観光庁では2015年度から、都道府県に外国人旅行者の受入れが可能な医療機関の選定を依頼しており、2018年度末でリストアップされた医療機関は1608カ所ある。

アンケートは成田国際空港、東京国際空港、関西国際空港、新千歳空港、博多港、那覇港で行われ、回答数は3000件。