外国人観光客に好評「寺泊」 座禅や写経を体験 檀家減少で生き残りかける寺も
(夕刊フジZAKZAK 2019年8月19日)
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190819/dom1908190002-n1.html

寺に泊まり座禅や写経などを体験する「寺泊」が、外国人観光客らに好評だという。
1泊15万円のものや、京都の仁和寺の1泊100万円のものが出てきているが、価格として適正なのだろうか?
文化財保護の資金に充当は理解できるが、お金儲けだけに走るのはいただけない。

【ポイント】
寺に泊まり座禅や写経などを体験する「寺泊」が、外国人観光客らに好評だ。
人口減少の時代に、檀家が減る中、寺社を維持する方法を模索する受け入れ側の事情もあるようだ。

高野山の宿坊に泊まった人の8割を欧米人が占める。宿泊施設として活用されている宿坊は全国で約300カ所にすぎない。日本文化を体験してもらおうと日本財団(東京)と京都の寺が外国人富裕層向けに始めたのが「いろはにほんプロジェクト」だ。

真如寺、海宝寺、永明院、大慈院、光雲寺が2016年9月から、1泊2日の寺泊を約15万円で提供し始めた。これまでに延べ148組476人が参加。
運営する京都文化協会は「座禅などについて住職に熱心に質問する人が多い」と語る。

世界遺産・仁和寺が18年5月から、松林庵を改修し、1泊100万円での受け入れを始めたところ、延べ9組48人が宿泊した。御所風の「御殿」を貸し切りで約3時間使えることが目玉。
雅楽や声明などを楽しんだり、襖絵の解説を聞いたりもできる。「静寂を独り占めできてぜいたく」「1000年の歴史ある寺で過ごせて感慨深い」と好評という。
国宝など約3万点の文化財を所蔵する仁和寺は「維持管理に多額の費用が必要。寄付だけでは十分賄えず、財源を確保する狙いもある」とする。

5寺と仁和寺は、宿泊料の一部を被災文化財の修復に充てる予定だ。
日本財団は「京都や奈良でモデルをつくり、全国100カ所に広げたい」としている。

全国約30の宿坊を検索できるサイト「テラハク」は、昨夏にサービスを始めた。
「年間約3000人が訪れ、うち韓国からの女性グループが半数を占める」という長崎県対馬市の対馬西山寺や、「檀家の漁師が取った大間マグロなど海の幸が食卓に並び、外国人観光客が月に2組ほど訪れる」という青森県大間町のおおま宿坊普賢院などを紹介している。

サイトを運営する「和空」は「檀家が減る中で、生き残るために寺泊を始めた寺もあるし、足を運んでもらうきっかけをつくりたい寺もある。今年中に100の宿坊を掲載したい」と意気込む。