京都のオーバーツーリズム解消に向け、観光客データを活用した実証実験の結果報告会を実施
(やまとごころ 2020年2月20日)
https://www.yamatogokoro.jp/inboundnews/pickup/37073/

京都市観光協会のサイトで、訪問者の行動がリアルタイムに分析・可視化することができる。
目的地の混雑情報を知り、穴場情報を知っていれば訪問先を変えるという。これは日本人に見られる傾向だったが、英語圏も中華圏の観光客も同じ結果が出たという。
有名観光地のオーバーツーリズム解消に有効な手段となるようだ。

【ポイント】
京都大学経営管理大学院と京都市観光協会、株式会社プレイドの3社は「DMOとしての観光マーケティング手法」に関する共同研究の公開報告会を行った。

京都市において観光客が特定箇所に集中する傾向に対して、その分散化を促すためにDMOとして行うべき情報提供に関するマーケティング手法を探るというもの。京都市観光協会が運営する公式ウェブサイト「京都観光Navi」と「Kyoto Official Travel Guide」に株式会社プレイドが提供するプラットフォーム「KARTE」を導入し、京都大学と共同で観光客データを解析した。

「KARTE」はサイト訪問者の行動や感情をリアルタイムに分析・可視化することができる。
それらの膨大なデータのつながりから、観光客一人ひとりに合った情報提供を行うことで、旅先の分散化を促す要因や条件などを、観光客の使用言語に応じて、「日本語」「英語」「中国語」を3つのチームに分けて検証した。

嵐山や伏見稲荷を訪れた日本人観光客へのインタビュー調査を行ったところ、「事前に混雑情報や穴場情報などを知っていれば行き先を変更する可能性があった」と回答した人が38%いた。
そこで「京都観光Navi」の有名観光地ページを閲覧している旅行前の観光予定者に情報提供を行い、サイト内の回遊の変化を検証した。その結果、事前の情報提供は行き先変更の可能性を高めることがわかり、さらに清水寺などの特定エリアでは効果が出やすいという傾向も示唆された。
京都の有名観光地のオーバーツーリズム解消には、「旅行前に適切な情報を与えることが有効」であることがわかった。

英語圏外国人観光客には、「ストレスのない旅行を」というポジティブトーンよりも、「混雑情報」というネガティブトーンのほうがクリック率は増加傾向にあることがわかった。
中国語圏観光客には、マイナースポットの紹介よりも、混雑情報提示のほうがより効果があることがわかった。

今回の共同研究では、観光客の満足度を上げながら、同時に京都観光における混雑の緩和、観光客の分散化を促すことを通じて、京都の「持続可能な観光」実現の一助となることを目指している。