新型コロナウイルス感染症が世界の観光に与える影響 ~観光停止による損失算出
(国連世界観光機関(UNWTO)プレスリリース 2020年7月24日)
https://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2020/08/0728_final.pdf

1月~5月の世界の観光客が3億人減少(前年同期比56%減)し、3,200億米ドルの国際観光収入が損失し、2009年の世界経済危機における損失の3倍以上という。
コロナ終息後に観光を希望する人は多く、多くの国は、安全が確保されれば直ちに観光を再開すると思われるが、現状では、途上国を含む何百万人もの生活を危険にさらすという。

【主な内容】
5月までの損失は、2009年に起こった世界経済危機の3倍に上昇しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国際観光における膨大な損害が明らかになっている。

パンデミックに対応するために強いられたロックダウンにより、5月の国際観光客数が2019年と比較して 98%減少。また、1月から5月までの観光客到着数が前年同期比56%減少となった。
これは、3億人の観光客の減少と3,200億米ドルの国際観光収入の損失に相当し、2009年の世界経済危機における損失の3倍以上である。

UNWTOのズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長は、「安全が確保されれば、直ちに観光を再開することの重要性を明らかにしている。国際観光の劇的な落ち込みは、途上国を含む何百万人もの生活を危険にさらします。世界の全地域の政府には、公衆衛生を優先しながら雇用と企業も保護するという二重の責任があります。各国政府はまた、この共通の課題に対する我々の対応を明確にするものとして、協力と連帯の精神を維持するとともに、我々が懸命に取り組んできた信頼と自信を損なうような一方的な決定を控える必要があります」と述べた。

観光はいくつかの国々において徐々に回復しつつあるが、UNWTO信頼指数は、2020年1月〜4月までの評価と5月〜8月までの見通し共に、過去最低レベルに落ち 込んでいる。UNWTO観光専門委員会のほとんどの委員は、国際観光が2021年後半までに回復すると予想しており、次いで2021年前半での回復を期待する委員が多い。
同専門委員会は、ほとんどの国で依然として行われている旅行制限や国境閉鎖、米国や中国などの主要なアウトバウンド市場の停止、旅行に関する安全上の懸念、ウイルスの復活と新たなロックダウンや外出禁止令のリスクなどといった、一連の損失創出の可能性(ダウンサイド・リスク)を指摘している。
さらに、信頼できる情報の不足や経済環境の悪化に対する懸念が、消費者からの信頼感を押し下げる要因として示されている。