Eテレの科学番組『サイエンスZERO』で「新型コロナ収束のカギ!mRNAワクチンに迫る」
(Eテレ『サイエンスZERO』 2021年8月22日)
https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2021082215787?cid=jp-XK5VKV7V98
放送日:8/22(日) 午後11:30-午後11:59
再放送:8/28(土) 午前11時-午前11:59
見逃し配信 : 8/29(日) 午後11:59 まで

【ホッシーのつぶやき】
「新型コロナワクチンがなぜ優れているのか」が良く分かる番組でした。
観光とは縁が薄いですが、コロナやワクチンについて正しく知っていないと、観光にも影響しますので、文字起こししました。(写真は無断使用なので転載不可、会員のみの情報とします)
ポイントは、人体がタンパク質を作ることそのものが原理なので、従来のインフルエンザワクチンより安全性が極めて高く、効果が大きいことです。

【NHKのHPの解説】
接種が進む新型コロナウイルスのワクチン。使われているのは「mRNAワクチン」という新しいタイプのもの。感染症の流行から1年ほどという早さで承認されたため安全性への懸念の声も少なくない。しかし、このワクチンの技術は20年以上の地道な研究で生まれた画期的なもの。開発の裏側から感染防御の仕組み、副反応や変異株への効果、さらに国産のmRNAワクチンまで。最新の知見から「いま知りたいこと」を徹底解説する。

【番組の抜粋】
人体がタンパク質を作る仕組みmRNAと同じ仕組みを使って、コロナウイルスのDNAから、人体に影響を与えない突起の部分だけをmRNAを使って作るものです。
この方法は、カタリン・カリコ博士と、ドリュー・ワイスマン教授が発見したワクチン製造法です。

人体の細胞には核があり、その中にDNAがあります。このDNAから細胞を作るため、設計図に相当するmRNAにコピーし、核から飛び出して、リボソームというタンパク質を製造する部位で、タンパク質を作ります。

コロナワクチンは、コロナウィルスのDNAの中で感染させる部分(突起)のみを作り出したものです。ワクチンを接種すると、人体で4種類の免疫細胞が活性化されます。ウイルスの突起にひっつく抗体を作るB細胞、指名手配情報を作る樹状細胞、ウイルス感染した細胞を破壊するキラーT細胞、排除せよと指令を出すヘルパーT細胞があり、このヘルパーT細胞の指令でB細胞やキラーT細胞が活性化されます。
   
ワクチンは2回接種しますが、1回接種して10日ぐらいから抗体の量が増え、3週間後に2回目の接種をすると、7日後に抗体の量が8倍ほどに増加します。そして免疫反応は2回目で強くなります。

ワクチンは臨床試験されていて、ファイザー社では95%、モデルナ社で94%の効果がありました。

アメリカのコロナの発生人数(1週間・10万人あたり)は、感染が未接種の人178.6、2回接種の人21.4、入院は未接種の人2.52、2回接種の人0.1、死亡は未接種の人0.96、2回接種の人0.04という大きな効果が実証されています。
 
インフルエンザワクチンはウイルスの抗原(タンパク質)を人体に入れて抗体を作る方法で、キラーT細胞やヘルパーT細胞を強く誘導できないため、有効率はひどい時は20%〜30%しかありません。

デルタ株への効果(ファイザー製ワクチン2回接種)は、感染は30%ほど効果が下がりますが、入院、死亡は効果が変わらないとのデータが出ています。

ワクチン接種で副反応が起こるのは、ウイルスの感染と同じ反応が起こるため、接種したところが腫れや痛みが起こします。これが全身に広がると高熱が出たりします。
しかしウイルスそのものではないので、人体に影響はありません。

一部の人に強い副反応が出ることがあるのは、ワクチンが悪いのではなくて、炎症反応であり、この炎症反応がその人が持っている病気を誘導しやすいので、アナフィラシキーを持つ人などは気をつけたほうが良いのです。

長期的は人体への影響は、ワクチン接種から1年ほどなので正確には分かっないのですが、ウイルスが遺伝子に影響を与えるとか、癌になることはないというのが、多くの研究者の意見です。また自分の遺伝情報が書き変わることはほとんどゼロと言って間違いありません。
人体に入ったmRNAは数日から1週間ほどで無くなると言われています。
このmRNAは壊れやすいものでした。カリコ博士は「壊れやすいから薬になる」「壊れやすいから体の中に残らない」と言います。
また突然できたのでなく、癌ワクチンで臨床試験も進んでいたから、コロナが発生して1年で開発できたと言います。

このワクチンは、遺伝子治療の可能性が開かれたものです。
そしてmRNAワクチンは、コロナ以外にも癌ワクチンも開発が進んでおり、インフルエンザワクチンもmRNAワクチンに置き換わるだろうと言われています。

京都大学iPS細胞研究所の濱崎洋子教授らの研究グループ
感染した細胞を攻撃し、コロナウイルスの増殖を抑える「キラーT細胞」と呼ばれる免疫細胞の一部が高齢者は若者より90%ほど少なくなっていて、重症化に影響している可能性があることが分かりました。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210824/2000050428.html