米国の旅行消費の損失は同時多発テロ「9.11」の6倍に、業界団体が政府に16兆円規模の支援要請、460万人の雇用喪失危機
(トラベルボイス 2020年3月18日)
https://www.travelvoice.jp/20200318-145707

新型コロナによる旅行自粛がアメリカ経済に与える影響は8090億ドル(約86兆7000億円)、旅行関連ビジネスの2020年の消費額は、前年比31%減、3550億ドル(約38兆500億円)を喪失すると試算し、その規模は9.11同時多発テロの6倍になるとしている。
アメリカの旅行業界は約1580万人を雇用うみだしているが、約460万人がこの1年に失われる恐れがあるといい、トランプ大統領にも報告されている。
トランプ米政権は17日、新型コロナウイルスによる経済不安を抑えるため、総額1兆ドル(約107兆円)の景気刺激策の検討に入ったという。
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【ポイント】
米国の旅行産業関連組織「USトラベル・アソシエーション」は、新型コロナウイルス(COVID-19)の旅行業界に与える影響についての分析によると、旅行自粛によるアメリカ経済への影響は8090億ドル(約86兆7000億円)にのぼり、今年約460万人の旅行関連の雇用が失われる恐れがあると、ツーリズム・エコノミクスが推計した。

USトラベル・アソシエーションのロジャー・ダウCEOが17日に、トランプ大統領、ペンス副大統領、ロス商務長官との会談で明らかにした。

「旅行業界ではすでに悲劇的な状況は起きており、ますます状況は悪化している。アメリカの旅行業界では約1580万人の雇用を生み出しているが、今後の見通しが立たなければ、雇用を維持できなくなる。大胆な措置を即座に打ち出さなければ、回復には時間がかかり、事態はますます困難になる」とコメント。特に、旅行業界の83%が中小企業であることを強調した。

輸送、宿泊、リテール、アトラクション、レストランなど旅行関連ビジネスの2020年の消費額は、前年比31%減、3550億ドル(約38兆500億円)を喪失すると試算。その規模は9.11同時多発テロの6倍になるとしている。

旅行業界単独で見込まれる損失は深刻で、アメリカの景気を後退させるだけの影響がある。
2020年第2四半期で底を打ち、その後少なくとも3四半期は続くと見込まれる。
旅行業界で見込まれる460万人の雇用喪失は、アメリカの失業率(3.5%〜6.3%)の倍にあたる。

ダウCEOは、ホワイトハウスでの会談でアメリカ政府に対して、1500億ドル(約16兆800億円)の支援を要請。旅行関連雇用の安定化を図るための基金の創設、旅行事業社に対する緊急資金支援、中小企業とその雇用を維持するためのSBAローンプログラムの最適化を求めた。

※円換算は1ドル107円でトラベルボイス編集部が算出