「予約やや好転」「経営スタイル見直し」ともに約7割 (観光経済新聞・旅館アンケート)
(観光経済新聞 2020年7月20日)
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全国の旅館約200軒へのアンケートによると、宿泊客の予約が「やや好転」69%だという。
好転の要因は、「県、市・町による県民割引などの企画」88%。「県をまたぐ移動の自粛解除」70%、「緊急事態宣言解除」64.0%が挙がった。
「GoToトラベル」に期待する意見も多いが、コロナの拡散が広がらないことを願うばかりだ。

【ポイント】
観光経済新聞社が、全国の旅館約200軒に行った「新型コロナウイルスの影響と対策」のアンケートによると、宿泊客の予約状況は「やや好転」68.7%、コロナ禍を機に「経営スタイルを見直す旅館」70.1%を占めた。
予約好転の理由は、地元自治体による県民対象の宿泊割引などに多くが回答。
自館の経営スタイルは、個人客への対応強化、高単価へのシフトなどがあった。

宿泊客の予約状況は、「やや好転」68.7%、「変わらない」11.9%、「悪化」10.4%、「好転」6.0%。無回答3.0%。
「好転」「やや好転」の要因は、「県、市・町による県民割引などの企画」88.0%。「県をまたぐ移動の自粛解除」70.0%、「緊急事態宣言解除」64.0%が挙がった。
その他、「自館の営業努力」20.0%、「地元観光地・温泉地の企画」10.0%、「旅行会社・OTAなどの企画」8.0%があった。
現在も取り組んでいることは、「館内の改装・メンテナンス」82.1%、「従業員教育」73.1%。「料理や温泉のテークアウト」19.4%、「未来の宿泊への『先払いプロジェクト』」13.4%、「テレワークなどへの施設提供」6.0%、「医療従事者などへの施設提供」4.5%。
「その他」では「クラウドファンディングへの参加」「とにかく安全対策」などが挙がった。

国や地方自治体による支援策で利用または検討しているものは、「雇用調整助成金」98.5%、「持続化給付金」88.1%、「実質無利子・無担保融資」71.6%が高い回答率だった。
その他、「自治体による感染拡大防止協力金等」38.8%、「国税、地方税、社会保険料の納付猶予」29.9%「家賃支援給付制度」13.4%があった。

「コロナ禍を機に自館の経営スタイルを見直す」に「はい」70.1%、「いいえ」20.9%、「その他」10.4%が回答した。
見直すとした旅館は、「しばらく団体は帰ってこないと仮定して、個人客対応を重視」「低単価の団体受け入れから高単価へのシフト」「今まで以上の業務の合理化、効率化」「営業日を絞り、部屋販売数も減らす」などが挙がった。「食事会場の個室への切り替え」「ソーシャルディスタンスを取るための改装」など、感染防止対策の回答も目立った。

一方、経営スタイルを見直さないとした旅館は、「ソーシャルディスタンスを守ろうとすると、今まで通り団体客を受け入れるのは困難」「現状のままでもある程度ウイルスに対応できると考えている」「適宜コロナ禍において対応している」などと答えた。

「政府や自治体、消費者に訴えたいこと」の自由記述では、「GoToトラベルキャンペーン」に期待する声が多く聞かれた。
・新型コロナ感染症の影響はまだまだ続くと思われると同時に、以前のような状況には戻れないと思う。経営に対する支援策を大きく打ち出してほしい。
・コロナ対策に関わる補助をもっと出してほしい。
・衛生管理は、宿だけでは限界がある。宿、お客さま、旅行会社3者が協力して取り組まなければならない。旅行中にコロナを発症しても、きちんと医療機関を受診できるよう、国を挙げて取り組んでほしい。
・県内在住のお客さまに限定した商売はできない。発熱のあるお客さまの宿泊も断れない。
旅館業法は今回の感染症拡大局面において、お客さまのためにも、施設のためにも、地域住民のためにも安心のためにも役に立たず、有害な面があることが露呈した。業界を挙げて改正に取り組むべき。
・GoToキャンペーン待ちなのか、8月以降の予約が鈍い。早めにスタートすることを待っている。
・GoToキャンペーンの時期を(早く)決定、発表してほしい。情報ばかり先走り、各地方、県、国を含めキャンペーンが多く、各プランの併用ができない、できるなど、お客、施設が困惑している。
・GoToの取り扱い要項が把握できないので、自社のオリジナル施策が計画できない。
・現在は県内客でどうにかやっているが、GoToキャンペーンはありがたいと思う半面、コロナが広がらないか不安である。自治体で感染症対策の勉強会などを行ってもらえると助かる。
・コロナ、雨災害と悪い材料ばかりだが、特に観光、飲食等の業種に対してGoToキャンペーンを即効性のあるものにしていただきたい。
・市の割引等、地元客の反応が早かった。まだ予断を許さない状況だが、GoToキャンペーンに期待したい。われわれの業種は不要不急かもしれないが、毎日テレビで放映されるのは旅、自然、文化、歴史番組である。日本人のアイデンティティーと考える。