日本にきた外国人が「ありえない!」と思った5つのナゾ
(TRiP EDiTOR 2020年3月18日)
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新型コロナウィルスの影響で、観光どころではないといいますか、観光のニュースもほとんど配信がなくなってしまいました。重要なニュースがない時は、比較的のどかな記事を配信させていただきたいと思います。
今日は、外国人が日本に来て「ありえない!」と思ったエピソードの記事を紹介させていただきます。日本人が外国に行って驚きの体験をするのと同じように、訪日外国人も驚きの体験をしています。でも、この驚きの体験こそ「異文化体験」なんですね…

【ポイント】
諸外国に旅行で遊びに行くと、自分の国と異なる文化や風習に直面して、驚いてしまう瞬間が多々あります。例えば、トイレで紙を流してはいけないところがあったり、まさにそのギャップを味わう瞬間こそが、海外旅行の醍醐味のひとつでもありますが、逆に日本に来た外国人にとっても、日本が不思議な国に映る瞬間もあるはず。そこで、日本に比較的長く滞在した経験のある外国人に、日本で驚いた文化や風習を聞きました。
日本のカルチャーに対して「どうして?」と不思議に思った瞬間を聞きましたので、いつもとは違う視点から日本の意外な一面が見えてくるかもしれませんよ。

集まりに参加しないと微妙な雰囲気になるのはなぜ?/イギリス出身

趣味も兼ねてフットサルの集まりにも参加している人ですが、例えば定例会や食事会に「今回はやめておく」と参加を見送ると、別に毎回出なくてもいいはずなのに、「外国人はやっぱりドライだ」といった空気になるといいます。
もちろん、いった相手も、別に嫌味でいっているわけではなかったそう。むしろ冗談風に、周りを笑わそうとして口にしていたそうですが、少し引っ掛かりがあったといいます。
そのイギリス出身の男性は、「行きたければ行けばいいし、行きたくなければ行かなくていい。別に参加率が自分のやる気の証明ではないはずなのに、べったりした付き合いが忠誠の証みたいになってしまう日本人の人間関係が、窮屈に感じる瞬間もある」といいます。

変な例ですが、学生時代に友人と一緒にトイレへ行く「連れション」ですら、やはり断れば人間関係に微妙な影響が出てくるような雰囲気がありました。
日本で育った生粋の日本人として、筆者自身にもこの「断る=相手に悪い」という感覚が抜けない自覚があります。例えば、海外取材で滞在している国で、歓迎の意味を込めて現地の人から何かの催しや飲み会に誘われると、断れない自分がいます。
「面倒くさいな」「疲れたな」と感じていても、思い切って「Thank you, but〜(ありがとう。でも〜)」と、いえない自分がいるのですね。行きたくないときは「仕事がある」などと適当な理由をつくって断りがちです。しかし、変な言い訳をせずに、ただシンプルに「行かない」といえる素直な「強さ」を身に着けたいです。

どうして大学生は親と一緒に部屋を決めるの?/オーストラリア出身

日本人は欧米人と比べると見た目が若いといわれがちです。しかし、一方では行動についても「若い」と感じられている様子。若いどころか、「幼い」という意見が、オートラリア出身の知人からも出てきました。その人いわく、いつまで経っても日本人は親と一緒に暮らしているし、まるで友だちのように近距離で歩いている親子を見ると、親まで幼いと感じてしまうとの話。
確かに友だちのような関係の親子は、日本のテレビコマーシャルなどだとひとつの理想のように描かれています。しかし、ある程度、子どもが大きくなったら親は親の人生を歩むべきで、子どもにべったりなどは考えられないと、オーストラリアの知人はいいます。
大学生になってまで親と一緒に自分の一人暮らし用の部屋を探している日本人の若者の姿には、幼さを感じるといった意見ですね。
他にも、「日本人はまちなかで歩いていると、すぐに分かる」と、海外のジャーナリストからいわれた経験もあります。日本人(の女性)は海外旅行中に何でも怖がって、お互いに身を寄せ合うように歩いているから一目で分かるとの話。その近い距離やキャピキャピした感じが、幼く見えてしまうのかもしれませんね。

イヤじゃなくても一度「断る」のはどうして?/北米出身

日本の女性は男女の関係に(あるいは女性と女性の関係に)なる瞬間、「一度、断るのはなぜ?」という意見がありました。日本人の筆者からすれば、女性の言い分も分かる気がします。
もしかしたら、一度断るようなリアクションを示しておかないと、「何か軽いと思われそう」「貞節に欠けていると見られてしまいそう」というイメージがあるのかもしれません。
しかし、今回話を聞いた北米出身の男性によれば、本当に嫌がっているのかと思ってやめたところ、ちょっぴり不満そうな顔をされ、頭が混乱してしまった過去があると告白してくれました。
その点、欧米の女性が「ノー」といえば本当に「ノー」であり、「ノー」でないときは、「ノー」とは決していわないとの話でした。近しい間柄になった人間同士が、そのような流れになったときは、自然に受け入れてほしいという願いのようです。いわれてみると、欧米の映画やテレビドラマでは、一部のシーンを除いて、ベッドシーンで拒否している女性の姿を、あまり見ないような気もします。
もちろんイヤなときはすっぱりと「ノー」と断ることがとても重要です。お互いの合意があった上で、心を通じ合わせる必要があります。国が違えば文化の違いもありますが、相手に素直な気持ちを伝えることが大切なのかもしれませんね。

女性の活躍できる環境が整っていない/東南アジア出身

アメリカに留学経験もある、国際経験豊富な東南アジア出身の女性によると、日本は女性の活躍できる環境が整っていないように感じると教えてくれました。
東京はまだそうでもない印象がありますが、地方に暮らしていると、男性中心社会の傾向はまだまだ強いと感じます。その東南アジア出身の女性も、輝かしい経歴を持ちながら、結婚を機に定住した日本の地方都市で、パートのような仕事しか活躍の場がなく、一時期はストレスがかなり溜まっていたそう。
いまでこそ立場あるポジションを見つけられたようですが、それでもまだ不十分で、子育てが済んだらすぐに米国に移住したいと考えているみたいです。優秀な人材が日本を見限って離れていこうとしている、大変な問題ですよね。筆者は地方に暮らしています。先日、地元の名門高校に勤務するベテラン教師の話を聞く機会がありました。
女性が校長を務めている県内の公立高校は3校(全体は50校)しか存在していないといいます。しかも驚きは、県内に3校だけの実績でも、女性の校長の数ランキングで見れば、全国上位なのだとか。どれだけ女性の活躍できる社会が実現していないかが分かってきます。
地域の各種の会合に参加しても、取り仕切る役は男性ばかり。女性の意見が地元の暮らしにあまり反映されていないように思えます。
この原稿も、ある有名観光地に向かうローカル鉄道の車内で書いていますが、当たり前のように運転手は男性で、車内アナウンスを担当する案内役が女性です。別に逆であってもいいはずですが、行きも帰りも電車は男性が運転手で、女性がアシスタントといった感じでした。
NHKの『「日本人の意識」調査』によれば、「男性が女性より優れている」と本気で考えている男性たちが、日本にはまだまだ存在していると分かります。もちろん日本以外にも男性優位の思想が強く残る国はありますが、少なくともいまの時代の日本には、全く不要な発想かもしれませんね。

美しい黒髪を染めるのはなぜ?/ロシア出身

海外に取材で出かけると、ニコンやキヤノン、富士フイルムのカメラを使っているジャーナリストたちに会います。時計はカシオを腕に巻いていますし、日本車を好んで運転している人たちにもたくさん出会います。
現地のタクシーに乗り込んで、ドライバーが日本車をチョイスしていると、筆者は決まって「日本車に乗ってくれてありがとう」といいます。そのたびドライバーたちは、日本車の魅力を大いに語ってくれます。日本の外に出ると、日本の製品が多くの人に愛されていて、「日本は素晴らしい」といってもらえる瞬間がたくさんありますよね。それなのに肝心の日本人が、輸入車や海外ブランドを好んで使っている場面は、よく見かけますよね。身近すぎるアイテムには、やはり人は価値を感じにくいのかもしれません。

例えば髪の毛も同じで、金髪や栗色の髪の毛をした諸外国の人が「日本人の黒髪が美しい」「うらやましい」と感じているのに、当の日本人はおしゃれとして当たり前のように髪色を染めています。
今回話を聞いた外国人のなかにも、「多くの人が髪の毛を不自然に染めているのはなぜ?せっかく黒髪が美しいのに」と話す、ロシア出身の高齢女性がいました。
もちろん、10代の若い女性に聞けば、このところ黒髪がブームで、過剰に染める人は身の回りにも少ないといいます。それでも、原稿を書きながらパッと周りを見渡してみると、目に入った日本人10人のうち、9人が茶色く染めていました。
自分が生まれながらに手にしていたり、身の回りで当たり前に手に入る価値に対しては、どうしてもありがたみを持ちづらいという事実はあると思います。おしゃれも楽しみたいですしね。
しかし、張りがあって輝きがある黒髪を染めてしまう日本人に対して、もったいないと感じる外国人は存在していると知ると、自分のすでに持ってる価値に、何か新しい評価ができるかもしれませんね。

以上、日本を訪れた外国人からすると不思議だったり驚きに感じてしまう日本の常識についていくつかご紹介しました。私たちが当たり前だと思っていることでも、視点を変えてみると違った一面が見えてきますよね。みなさんもちょっと変わった日本の当たり前を見つけてみてはいかがでしょうか。

このように日本人にとっては当たり前のような行動や文化のなかには、外国人が驚いたり、不思議に感じることも少なくないみたいですね。もちろん今回紹介した以外にも日本の知られざる一面がきっとあるはず。みなさんもいつもとは違う視点から、日本の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。